先週の本コラムで触れた通り、2018年の「ブラックフライデー」(年末商戦の開始日)は、店頭からオンラインへの人の流れが顕著に見えていた。既にEコマース関連のニュースサイトは、2018年のブラックフライデーと翌週月曜日の「サイバーマンデー」(Eコマースでの購買が最も活発に動く日)が過去最高の盛り上がりを見せたという情報を報じている。
いくつかの情報から、商品を購入するため店舗に訪れた消費者が、わずかではあるが減少していることも見えている。消費者行動を専門に分析するShopperTrak社は、「米国の2018年の感謝祭(11月22日)と翌日のブラックフライデーの2日間に店舗で買い物をした消費者は、2017年と比べて1%減少した」というニュースリリースを発表した。
来店客が減ったからといって、このまま実店舗からオンラインへと顧客の流れがシフトするとは限らない。むしろ今後は実店舗での購買は増えてくるのではないかという予測がある。ただしそれはデジタル、特にモバイルがあってのことだ。
米PwCが発表したデータは、その状況を裏付けている。「店舗での購買者数は2015年までは徐々に減少傾向を見せていたが、2016年以降増加に転じ2018年は2013年の数字を上回った」という。
このデータから分かるのは、オンラインでの売り上げのうち頭打ちになっているのがPC経由での購買者数であること。代わりにタブレットやスマートフォンなど、モバイル端末での購買者が伸びている。
米小売業界にとって、「モバイルをどう使いこなすか」が大きなテーマとなっているわけだ。小売業界の動向をまとめるRetail Touchpointsが2018年11月に公開したデータにもその一端が見えている(編集部注:データは個人情報の入力後にダウンロード可能)。これによると「2017年から18年にかけて予算を増額させた領域」という質問に対して、回答者の半数以上(53%)が「モバイルテクノロジー」を選んだという。