デジタルマーケティング分野で、特定分野の有名人など周囲に影響を及ぼす「インフルエンサー」の存在が無視できなくなっている。インフルエンサーを中心に据えた手法は「インフルエンサーマーケティング」と呼ばれており、これを取り入れる企業が増えている。
「広告主企業や広告代理店でブランドマーケティングに携わっているマーケターの68%が『インフルエンサーマーケティングは重要な手法である』と回答した。その約半数は「戦略的に最も重要な位置にある」とした」――。
米Talkwalkerは2019年2月に、こんな調査結果を明らかにした(調査結果は同社サイトで個人情報の登録後に閲覧できる)。欧州を中心とした企業に「インフルエンサーマーケティング」についての考え方を聞いてまとめたものだ。
マーケターたちはインフルエンサーを、“様々な情報が飛び交うソーシャルメディアの中で、自社ブランドの露出を一定量以上確保するために欠かせない存在”と位置づけている。上の調査では、インフルエンサーマーケティングの目的として「ブランドの露出を向上させる」が、最も高い支持(65.8%)を集めていた(複数回答)。
消費者向けの調査からも、これを裏付けるデータが得られている。米SproutSocialが発表した調査結果によると、「米国の60%の消費者は、ソーシャルメディア上の投稿を『新製品やサービスのショーケース』として受け止めている」という(調査結果は同社サイトで個人情報の登録後に閲覧できる)。インフルエンサーは、ソーシャルメディア上で自社の商品やブランドを露出させる際に、消費者にインパクトを与える役割を担っている。
ただし、企業が実践するインフルエンサーマーケティングには課題もある。米MediaKixが2019年2月に発表した調査結果から、そのいくつかが見えている(調査結果は同社サイトで個人情報の登録後に閲覧できる)。
調査によると、インフルエンサーをマーケティング施策に起用する際の最大の課題とは「ROI(投資利益率)の測定および改善」であり、全体の78%を集めたという(複数回答)。それに次ぐのが「適切なインフルエンサーを起用する」で67%だった。
この1〜2年は、特に「適切なインフルエンサー」というキーワードがクローズアップされている。これは「自分たちの商品やサービスのイメージやターゲットに合うインフルエンサーを起用する」といったキャスティングの話ではない。インフルエンサーを起用した後に、フォローを伸ばすための活動を意味する。
望ましいのは、インフルエンサーが意図したとおりに“適切に”フォロワーを増やしてくれることだ。しかし、それがうまくいかない場合は「対策」が必要となる。