前回、企業でマーケティング業務の内製化が加速している動きを解説した。

 企業にとって「内製化が進む」とは、「人材確保が大きな課題になる」という意味がある。米Spear Marketing Groupが2018年後半に調査し、2019年1月に発表したデータからも、その状況が見て取れる。

 データによると「米国の75%以上の企業でマーケティング部門が人手不足に悩まされており、BtoB企業の90%以上が『能力のあるマーケターの採用は難しい』と回答した」という(編集部注:リポートは同社Webサイトで個人情報の登録後に入手可能)。

 企業が「最も採用が難しい」と感じている職種は「マーケティング分析」で、回答者の61.2%が選択した(複数回答)。さらに「マーケティングオペレーション(マーケティング予算の策定から企画・実行・分析までの工程を一貫して管理する業務)」が46.9%で、「デマンドジェネレーション(見込み案件の創出や発掘活動全般を取り仕切る業務)」が44.9%と続いた。

 施策の実行など現場でのマーケティングオペレーションは、ツールの活用やアウトソーシングによって解決できる領域が広がっている。それよりもマーケティングの上流部分を担う人材確保が急務となっているようだ。

 急務ではありながら人材確保がなかなか進まない状況は、そこにかかる時間からも分かる。上記の調査では、マーケティング部門が人材を確保する期間について、「半数近くの企業が『5~8週間を要する』と回答し、1~4週間と答えた企業は16%程度だった」としている。9週以上とした企業も3割を超えている。人材の流動性が高いとされている米国でさえ、必要とするマーケターの採用に時間がかかっているのだ。

 企業が人材確保に苦心しているのは、スキルのある人材がそもそも少ないという理由もある。筆者はかつて、「米国企業のマーケターのうち、(大学などで)実際に専門的にマーケティングを学んだ経験がある人は全体の半分に満たない」という指摘を目にしたことがある。

 さらにここ数年、マーケターが担当すべき業務やそれに伴うスキルは変化している。マーケターたちはマーケティングの基本から最新の動きへの対応まで、幅広い能力を求められているのだ。

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