インターネットを活用したサービス競争が激化したことで、消費者が選択できるサービスの幅は広がった。提供する側の企業としては、消費者から選んでもらえるように、そして少しでも長く関係性を維持するために様々な工夫を凝らしている。よくいわれる「顧客から“ロイヤルティ(「信頼」や「愛着」のこと)”を獲得することが重要だ」とは、こうした企業の姿勢を端的に表したものだ。

 もちろんロイヤルティの獲得は、一朝一夕でできるものではない。イスラエルのYOTPOがロイヤルティについて発表したデータから、その現状を見てみよう。

 データによると、「自分がこのブランドに対してロイヤルティを持っている、と感じるまでに要する購買回数」という質問に最も多い回答を集めたのは「5回(37%)」だった。2位以下は「3回(33%)」、「4回(17.65%)」、「2回(12.35%)」と続く。ロイヤルティを得るまでには、消費者から最低でも3回、できれば5回は購入してもらう必要があるということだ。

 「ブランドに対するロイヤルティを感じる要素」として最も多くの回答を集めたのは「製品(55.3%)」だった。2位以下は、「お得感(Great Deals、25.7%)」、「カスタマーサービス(7.1%)」と続いていた。つまり製品は当然として、マーケティング活動を通じてお得感を演出することが、顧客のロイヤルティを獲得のために重要というわけだ。

 お得感を演出する手法は、よく「ロイヤルティプログラム」と呼ばれている。ところが近年、ロイヤルティプログラムに消費者が求めるものにも変化が見えている。そんなリポートを、米Doshが発表した(編集部注:リポートは個人情報登録後にダウンロード可能)。

 リポートによると「約90%の消費者は、これまで多くの企業が採用してきた(購入頻度や購入額などによる)ポイントと(ポイントを基に顧客をグループ分けする)ステージ、そしてステージごとに変わるロイヤルティプログラムや店舗発行のクレジットカードに魅力を感じていない」という。前者に関しては「ポイント数を確認する」ことを面倒なものと感じており、後者については「契約手続きが面倒」という声が高まっている。

 Doshのリポートは「そもそもGen Z(Z世代=ミレニアル世代の次の世代に当たる)は、店頭で買い物をすることが少なくなっている中では、店頭での購買を中心に設計されたロイヤルティプログラムは機能しない」と指摘している。それを裏付けるため「店頭でのロイヤルティプログラムを申し込み利用する消費者は、Gen Zでは半分以下(43%)に落ち込んでいる」と数値を挙げて解説している。

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