米MCIは,卸売り業者向けVoIP製品スイートの提供開始を米国時間8月3日に発表した。計画では,同年の下旬に提供開始が予定されていたが,VoIP対応サービスの需要の高まりに合わせて製品開発を速めた,と同社は説明している。

 今回発表されたVoIP卸売りサービスは,キャリア級のIPターミネーション顧客向け「Carrier IP Termination」とSIPゲートウェイ・サービス・ユーザー向け「SIP Gateway Service」の2種類が用意されている。

 Carrier IP Terminationは,メディア・ゲートウェイ機器をすでに購入しており,MCI社の統合ネットワークを介してトラフィックのターミネーションを望む企業に適しているという。同サービスは,全米を対象に提供が可能。SIP Gateway Serviceは,米国内の企業と一般家庭の54%に渡る範囲で提供が可能となっている。

 MCI社 Wholesale Servicesシニア副社長のJohn Krummel氏は,「当社の顧客は,必要最低限な機能だけを備えたものでなく,統合されたグローバルなネットワークを利用できるVoIPサービスの提供を可能にする製品を求めている」とコメントしている。

 MCI社は,VoIPサービスの提供開始に向けた設備投資予算として100万ドル以上を設けている。VoIPチームを増強し,E911,番号案内,IDデータベースといったサービス機能の提供を計画しているという。

 これらの製品の販売プロセスを強化するために,同社は広範囲にわたる顧客ベースのニーズに合わせたプログラムを用意した。VoIP市場への参入に興味がある卸売り顧客向けに,シニア・マネージメント,販売員,技術コンサルタント,プログラム実装担当などで構成される専門のVoIP販売チームのサービスを提供する。この専門チームは,MCI社の現行の卸売り販売チームと協調していく。

 同社は,米Verizon Communicationsに合併吸収される過程にある。Verizon社では,家庭向けVoIPサービス「VoiceWing」を提供している。

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