米Infonetics Researchは,キャリアのVoIP投資に関する調査結果を米国時間7月13日に発表した。同社アナリストのKevin Mitchell氏によると,2004年におけるキャリアのVoIP機器に対する投資額は17億3000万ドルで,これを起点にVoIPへの長期的な移行が進むという。「2008年までに,世界支出は58億ドルに達する見込み」(同氏)

 調査は,北米,欧州,太平洋地域のキャリア44社に対して聞き取りを実施したもの。キャリア各社は,回線交換網からVoIPのパケット・ネットワークに移行する主な理由を「新たな利益創出のため」としている。

 Mitchell氏は「世界各地のキャリアが,競争の中で差別化をはかり,利益をもたらす新サービスを求めて,VoIP機器に費用を投じている」と説明する。「北米およびアジアではVoIP実装がこのまま進み,西欧は導入が始まりつつある。2005年は,北米市場にとっての2004年と同様に,さらに多くのキャリアがVoIP導入に向け,長期的な投資サイクルに入るだろう」(同氏)

 その他の主な調査結果は以下の通り。

・VoIP機器の導入を後押しするのは,新規アプリケーションやサービス,資本支出,オープン/標準ベースのインタフェースなど
・2006年に3GPPのIP Multimedia Subsystem(IMS)参照アーキテクチャの使用を予定しているキャリアは30%
・VoIPはさらに普及する兆しをみせており,キャリアの約半数が2006年までに中央局にVoIP機器を導入する予定
・新たな音声およびIPマルチメディア・サービス向けにVoIP機器を利用している割合は半数以上

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