米IBMとデータ統合ソフトウエア・ベンダーの米Ascential Softwareは米国時間3月14日に,IBM社がAscential Software社を買収することで最終合意に達したことを明らかにした。IBM社は,Ascential Software社の株式を1株あたり18.50ドルで買い取る。買収総額は約11億ドルとなり,すべて現金で支払う。

 Ascential Software社株主と当局の承認を得たのち,2005年第2四半期に取引を完了する予定。

 Ascential Software社はマサチューセッツ州ウエストボロに本社を置く未公開企業。データ・ウエアハウス構築,ビジネス・インテリジェンス強化,企業アプリケーション統合のためのデータ統合ソフトウエアを企業に提供している。同社の製品により,重要な企業情報を保存および管理し,オンデマンドでデータにアクセスすることが可能。同社の2004年の総売上高は2億4190万ドルで,前年比46%増加したという。

 IBM社は,Ascential Software社を買収することで,情報統合部門を拡充したい考え。同部門は2004年に3ケタの成長率を遂げており,IBM社の情報管理事業における重要な戦力である。「情報統合は,当社のオンデマンド戦略で大きな役割を持つ。また,顧客も自社ビジネス・データの分析と統合,そして価値抽出のために,情報統合への投資を増やしている」(IBM社Software Group部門上級バイス・プレジデント兼グループ・エグゼクティブのSteve Mills氏)

 具体的には,Ascential Software社の技術を利用して,大規模データを迅速に収集,移行および変換する機能を,情報統合ソフトウエア「WebSphere Information Integrator」製品に取り入れる。企業がさまざまな場所に保存されている構造化/非構造化データを中央管理し,アクセスできるようにする。

 取引完了後,Ascential Software社はIBM社Information Management and Software Group部門傘下に入る。米メディアの報道(internetnews.com)によると,「両社の技術は重複部分が極めて少ないため,Ascential Software社の従業員をすべて維持することになる」(IBM社Information Management and Software Group部門ジェネラル・マネージャのJanet Perna氏)。

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