「2006年半ばには,電子メールの95%をスパムが占める可能性がある」。スパム監視団体のSpamhausはスパムの被害に関する調査結果を英国時間2月3日に発表した。それによると,現在,大手ISPのメール・サーバーに届くスパムの75%はスパマーが直接送信したものか,あるいはスパマーが乗っ取ったパソコン(プロキシ)が発信源となっているが,ここ数カ月はISPのメール・リレーを利用したスパムが目に見えて増加している。

 この変化は,ロシア人スパマーが公開したステルス型プロキシ・スパム・ソフトウエア(スパムウエア)の新バージョンが原因とみる。同スパムウエアは,ブロードバンド・ネットワークに接続しているパソコンを乗っ取り,匿名のプロキシ・サーバーとしてスパム・メールを大量送信させるたものもので,新バージョンでは,ISPのメール・リレーを利用する命令を追加している。

 「米Time Warner傘下のAmerica Online(AOL)は,この変化にいちはやく気付いた企業の1つで,同社が現在受け取るスパム・メールの90%以上が他社ISPのメール・リレーによるものだという」(Spamhaus)

 Spamhausは電子メール・サービス・プロバイダに対して(1)ブロードバンド・ユーザーの送信メールを制限する,(2)受信および送信向けSMTPサーバーを分離する,(3)全てのユーザーに電子メール認証(SMTP-AUTH)を義務づける,などの対策を取るようアドバイスしている。

 ただし,米メディアの報道(CNET News.com)によると,「SpamHausは,メール・リレーによるスパムに過剰反応しすぎ」(米Postini)との声もあがっている。

◎関連記事
皮肉にも,米国のスパム対策法がスパム増加の原因に 
「小企業で社員1人が受信するスパム・メールは大企業の約10倍」,米調査より
「施行から1年,CAN-SPAM法に準拠していないメールは平均97%」,米調査
「2004年のウイルス被害ワースト1は『Netsky-P』,Netsky亜種が全体の41.6%」,英調査 
スパムを減らすブラックリスト・サービス(前編) 
「フィッシングの撃退には自動分類機能が有用」と米ISS幹部 
米EarthLink,スパム送信者2人を相手取ったアラバマ州の裁判で勝訴
AOLのスパム撲滅作戦が奏功,月間1100万通から220万通へ激減 

[発表資料へ]