米Microsoftは,スパム対策(CAN-SPAM)法に基づいて,ワシントン州で7件の訴訟を起こした。同社が米国時間12月2日に明らかにした。同社は,今回提訴した被告がCAN-SPAM法によって義務付けられたラベリングを行なうことなくポルノ関連のスパムを送信したと主張している。合計数十万件にのぼるスパム・メールが送信されたという。

 CAN-SPAM法と米連邦取引委員会(FTC)のラベリング規定では,ポルノ関連の内容を含むスパムに対し,件名とメッセージ本文の最初に「SEXUALLY-EXPLICIT:(性的コンテンツが含まれる)」と表示することを義務付けている。

 「店頭で販売されるポルノ関連の製品や出版物は,法規制により褐色の包装紙で見えないようにカバーすることが義務付けられている。オンライン上でも消費者が同じように保護されることは重要である」(同社法律顧問代理のNancy Anderson氏)

 今回の7件の訴訟は,相手方がまだ特定できていないため,「John Doe」として告訴されている。Microsoft社は被告がCAN-SPAM法とワシントン州の電子メール法「Commercial Electronic Mail Act」に違反すると主張。送信元を隠すため乗っ取られたコンピュータを使用したスパムの送信,件名を偽った電子メール,受信拒否を電子的に手続きする手段の欠如,物理アドレスの隠ぺいが行なわれたとしている。

 FTCのラベリングに関する規定案は,CAN-SPAM法が2004年1月に施行された直後に提出された。同規定は,知らずにスパム内のポルノ画像を目にすることのないよう消費者を保護するためのもの。同年年5月に有効となった。

 アダルト関連のスパムは,スパム全体で大きな割り合いを占めている。同社は,同年11月12日にも,韓国語のアダルト・サイトなどへの勧誘を行なった未特定のスパマーをJohn Doeとして提訴している。現在,同社は米国内の86件の訴訟を含め,世界で115件以上のスパマーに対する訴訟をサポートしている。

 Microsoftは,米Time WarnerのAmerica Online(AOL),米EarthLink,米Yahoo!と同年10月末に,スパマーに対して大規模な訴訟を起こしている。4社は2004年3月にも数百人を相手取り,計6件の訴訟を申し立てている。

◎関連記事
米Microsoft,米Yahoo!,米AOL,米EarthLinkが7件のCAN-SPAM法違反訴訟
「電子メール・サービス・プロバイダ,CAM-SPAM法に対応しているのは約半数」,米調査
米AOL,米EarthLink,米Microsoft,米Yahoo!が共同で6件のCAN-SPAM法違反訴訟
米AOLが計10億通を越えるスパムを送信した企業と個人に対して対して5つの訴訟
米AOL,米EarthLink,米Microsoft,米Yahoo!が共同で6件のCAN-SPAM法違反訴訟

発表資料へ