米Microsoft,米Time WarnerのAmerica Online(AOL),米EarthLink,米Yahoo!は,スパム対策(CAN-SPAM)法に基づいて,バージニア州,ジョージア州,カリフォルニア州でそれぞれ訴訟を起こした。4社が米国時間10月28日に明らかにしたもの。訴訟件数は,Microsoft社が3件,AOL社が2件,EarthLink社とYahoo!社が各1件。

 Microsoft社インターネット安全監督担当弁護士のAaron Kornblum氏は,「われわれ4社は,悪質なスパム業者を特定し,標的にすることで,スパムの経済を変えようと努力し続けている。当社だけで,米国での75件を含む100件以上の訴訟を世界で起こしている。訴訟対象は,当社のユーザーの受信箱に望まないメッセージや虚偽の電子メールを送りつけたり,悪意のあるコードやスパイウエアを侵入させたり,フィッシング・サイトへ呼び込んだりする輩だ」と述べた。

 Microsoft社によれば,今回同社が提訴した相手は,Microsoft社,AOL社,EarthLink社,Yahoo!社の4社のドメインを偽装したスプーフィング(なりすまし)を実行したという。オープン・プロキシ経由で,サプリメントや不動産サービス,マルチ商法などの広告メッセージを,数百万通発信した。3件のうち,2件については被告の名前を公表していない。

 AOL社は2件とも被告の名前を公表していない。1件は,スピム(SPIM:IMやチャット・ルーム経由のスパム)を実行した20人を相手取ったもの。残りの1件は,処方箋薬などの規制のある製品を密売している10人で,特にAOL Europe事業およびAOL Canada事業のサービス加入者にスパム・メールを送りつけたとみられる。

 EarthLink社は,非合法的かつ虚偽の電子メールで処方箋薬や不動産ローンの宣伝メッセージを送信した者を提訴した。名前は非公開。

 Yahoo!社が提訴したのは,East Coast Exotics Entertainment Group社とEpoth社。身元を詐称してスパム・フィルタを迂回し,性的な内容のスパム・メールを送りつけた疑いがある。

 なお,4社が大規模なCAN-SPAM法違反訴訟を起こすのは今回が2度目である。4社は2004年3月にも数百人を相手取り,計6件の訴訟を申し立てている(関連記事)。

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[発表資料(Microsoft社のプレス・リリース)]
[発表資料(AOL社のプレス・リリース)]
[発表資料(Yahoo!社のプレス・リリース)]
[発表資料(EarthLink社のプレス・リリース)]