米Wal-Martは,2005年1月からのICタグ(RFID)の本格採用に向けて,5ヶ月前に開始したEPC(電子製品コード)試験運用プログラムが実装段階に移行し始めていることを米国時間10月28日に明らかにした。

 Wal-Mart社はEPC導入の構想を2003年6月に発表していた。当初,EPC導入の第一段階として,2005年1月から主な取り引き先の100社が,ダラス,フォートワース地域の3ヵ所のディストリビューション・センターに向けてタグ付けをした製品ケースとパレットの納入し始めることを計画していた。計画が発表されて以降,30社を超えるサプライヤがこの目標に合わせて取り組みを行なってきた。

 「サプライヤは準備ができている。Wal-Mart社の準備も整っている。先延ばしにする必要は無い。我々が1月1日に巨大なスイッチをオンに入れれば,100社を超えるサプライヤからの製品ケースやパレットがタグ付けされて現れる,と簡単に考えている人もいるようだ。しかし,目標とする1月よりも前に開始を促しにくるサプライヤもいる。その情熱と取り組みを歓迎する」(Information Systems部門EPC実装担当副社長のCarolyn Walton氏)

 同社は,ノーステキサス地域において4月30日からEPCの試験運用を開始している。8社のサプライヤからの21製品のケースとパロットがサンジャーにある同社のディストリビューション・センターに出荷され,そこから7ヵ所のローカル・スーパーセンターに向けて輸送されている。同社によれば,同技術により小売業者は従来と比べて,サプライヤからディストリビューション・センター,そして店舗に至るまでの在庫の把握がしやすくなったという。

 サプライヤの1社であるBeaver Street Fisheries社は,ICタグの可能性をおよそ1年前から模索し始めている。RFIDチームを作り,小さな研究所を作成してRFIDを同社の事業に組み込む3段階の計画を作成した。同社は,11月の第1週からWal-Mart社にタグ付けした商品の納入を開始する。

 米Forrester Researchが4月の段階で発表した調査結果によれば,Wal-Mart社が要求しているRFID導入を考えた場合,サプライヤが初年度に負担する費用は,初期投資を含め約900万ドルにのぼるという。同社は,「Wal-Mart社が定めた2005年1月の導入期限に対応できるサプライヤはわずか25%に過ぎないだろう」と予測していた。

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