米Yankee Groupが米国時間6月30日に,無線ICタグ(RFID)市場に関する調査結果を発表した。それによると,製造企業による2005~2007年の総投資額は,RFIDタグ向けが約20億ドル,RFIDインフラ向けが10~30億ドル。インフラ分野で特に投資額が大きいのは,コンサルティングおよびシステム・インテグレーションという。ただしYankee Group社は,RFID普及に伴い米国では2007年までに400万人分の雇用が失われると予測する。

 同社は,「RFID普及の終盤では,サプライ・チェーン活動にエンド・ツー・エンドの視覚化手段を与える際,LAN/WANが重要な役割を果たす」とみる。「デバイス分野では,バーコード・スキャナがRFIDリーダーに駆逐されるだろう」(同社)

 RFID技術について,Yankee Group社無線/モバイル・エンタプライズ&コマース担当ディレクタのAdam Zawel氏は,「見通し外でも利用可能なこと,自動データ収集機能,読み取り/書き込み機能など,バーコードよりも多くのメリットがある」と指摘する。「しかし,RFIDのメリットはそれだけではない。データ収集にかかわる手作業を減らすことでサプライ・チェーン・マネジメント(SCM)を劇的に改善する可能性があり,サプライ・チェーンのリアルタイム視覚化と(小売店の店舗など)現場のリアルタイム化を実現する」(同氏)

 同社によると,企業はRFIDを導入するにあたり,「導入計画に沿った期間内で実用的なアプリケーションを提供し,業務手順を妥当な変更で済ませる合理的な移行パス」(同社)を提供できるベンダーを選ぶという。具体的には,ドイツSAP,米Oracle,米PeopleSoft,米i2 Technologies,米Manugistics,米Manhattan Associates,米RedPrairieといったERP/SCMベンダーが,RFIDへの移行で活躍するとしている。

 米メディアの報道(TechWeb)によると,Zawel氏は「400万人分の雇用消失は,バーコード・スキャナ関連分野で起こる」と述べた。

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