米Novellは,同社のオープンソース・ソフトウエア製品を保護するために同社が保有する特許技術を利用する用意がある,とする声明を米国時間10月12日に発表した。今回の声明は,訴訟を起こそうとするベンダーに警告を与えるとともに,顧客がNovell社の強力な保証を得て,侵害問題を懸念することなく自信を持ってオープンソース・ソリューションを選択できるようにすることを目的としている。

 声明では,同社または同社のオープンソース製品を利用する顧客に対する知的所有権侵害などの訴訟に対し,同社が保有する特許技術を利用して防衛するという立場を明らかにしている。また,特許技術を保有する他のベンダーに対しても,同じようなアプローチを取るように推奨している。

 同社によれば,Linux,Apache,MySQL,JBOSSといったオープンソースのソフトウエアの急速な成長により,IT市場に歓迎すべき競争が生じている。顧客は,選択の自由から大きな恩恵を受けている。Novell社の声明は,Novel社の顧客が特許に関する懸念に縛られること無く,技術的な利点,セキュリティ,サービス品質,価値をもとに技術選択の決定が下せる理由を説明している。

 「わが社のアプローチは,顧客の選択を脅かすのではなく,保護するものであり,オープンソースが継承する革新を支援するものである。このポリシーは,特許を主張する第三者からNovell社のオープンソース技術を守ることを表明するものである。我々は,顧客の選択肢を閉ざすためでなく,革新を推奨するために,特許が設立された本来の目的で利用したい。他の特許保有者も同じような立場を取ることを望む」(同社会長兼CEOのJack Messman氏)

 同社法律顧問のJoseph A. LaSala,は,「オープンソースのソフトウエアに関連する知的財産侵害のリスクは,プロプライエタリのソフトウエアの物と何ら変わることは無い。Novell社は,プロプライエタリとオープンソースのソリューションが共存する環境における知的財産の保護に全力を投じている」とコメントしている。

 「特許は,知的財産を保護する上で重要な役割りを果たすものである。しかし,一部のベンダーが特許を振りかざして顧客の選択に影響を与えており,これは前例が無いことである。顧客は,知的財産侵害の訴訟を起こされるという恐れからではなく,価格,価値,セキュリティ,サービスといった要因をもとに購入決定を行なう自由が与えられるべきである」(同氏)

 同社は,同年4月に,「SUSE LINUX Enterprise Server」を使用する企業顧客に対して第三者が著作権侵害で訴訟を起こした場合に適用される免責保証プログラムを発表している。

 米Open Source Risk Management(OSRM)がLinux使用における特許侵害の可能性について調査したところ,Linuxカーネルは裁判所によって有効性を認められたソフトウエア特許は侵害していないが,場合によっては特許侵害訴訟を起こされる可能性があるという。
OSRMは,Linuxを利用している顧客が著作権侵害で提訴された場合の訴訟費用を負担する保険型サービスを提供している。

 また,特許監視団体である米Public Patent Foundationがこれまで訴訟につながったすべての米国ソフトウエア特許を調査した結果,まだ裁判所の判例で有効性が認められたことのない283件の特許について,Linuxエンド・ユーザーに対する特許侵害訴訟に利用される可能性があることを指摘している。

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