米SCO Groupが米国時間5月30日に開催したメディアとアナリスト向けの電話会見について,米Novellは,「SCO社は,当社が書簡で述べた見解を変えるほど十分な情報を提供していない」とするコメントを同日発表した。Novell社は,「LinuxにUNIXのコードを不正利用された」とするSCO社に対し,異議を唱える書簡を送付したことを,5月29日に明らかにしている。

 書簡は,SCO社がLinuxベンダーやユーザー各社に宛てた「Linuxの使用に関する法的責任が商用ユーザーにまで及ぶ可能性がある」との警告書に返答するかたちで,Novell社会長,社長兼CEOのJack Messman氏からSCO社社長兼CEOのDarl McBride氏に送ったもの。

 Novell社は書簡の中で,「UNIX System V」の著作権と特許を所有しているとするSCO社の主張に対し,「米国特許庁の記録を見れば簡単に分かることだが,その特許はNovell社が保持している」と反論。「両社は1995年に,SCO社がNovell社からUNIXを買い取ることことで提携を結んでいるが,Novell社の認識によれば,この提携は,関連する権利をSCO社に譲渡するものではない」(Messman氏)と述べた。また,SCO社の警告通知の内容が「あいまいで,いくつかの重大な疑問が残る」(Messman氏)と批判し,UNIX System Vの一部のコードがLinuxに流用されたというSCO社の言い分を裏付ける事実を提示するよう要請した。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,SCO社は5月30日の電話会見で,「Novel社が指摘した著作権の問題は,当社が現在進めている訴訟や市場で起きていることにとって重要ではない」(McBride氏)と述べ,さらに,Novel社と法廷で闘う心構えがあることを示唆したという。

 SCO社は今年に入って,同社が所有するUNIXの知的所有権から積極的にライセンス料を徴収する「SCOsource」戦略を展開している。3月には,「米IBMがLinux事業を推進するためにUNIXソフトウエアのライセンスを不正利用した」として,IBM社を提訴した。

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