米Texas Instruments(TI)は,リチウム・ベースのバッテリ・パックのバッテリ残量を誤差およそ1%で測定する新しい技術「Impedance Track」を米国時間9月13日に発表した。同技術は,動的なモデリング・アルゴリズムを使って使用期間,温度,利用方法による性能の低下を考慮してバッテリ残量を推定するもの。同社は,Impedance Track技術を搭載するチップのサンプリング出荷を同日開始した。

 同技術は,バッテリの使用期間,温度,サイクル・パターンを原因として発生する電気抵抗の変化を正確に判断して2,3,4セルのバッテリ・パックの稼働時間を正確に予測する。同社によれば,現在のバッテリ測定ソリューションでは,一定の使用期間を経てバッテリに生じる電気抵抗を計算しない。そのため,数ヶ月利用したバッテリでは,エラー率が50%を超える可能性があるという。

 同技術は,複数セル,リチウム・ベースのバッテリ・パックをターゲットにしているが,ニッケル水素/ニッケルカドミウム・バッテリといった他のバッテリ・タイプのサポートも可能。また,TI社は,スマートフォン,デジカメ,PDAといったシングル・セルのリチウム・イオンのサポートも計画している。

 Impedance Track技術を採用したバッテリ残量を測定するチップセット「bq20z8x」は,同日よりサンプル出荷が開始される。量産は2004年第4四半期に予定している。パッケージは,bq20z8xが38ピンのTSSOP,bq29312は24ピンのTSSOP。bq20z8xの1000個購入時の予定単価は4.35ドル,29312が1.20ドルに設定されている。bq20z8xの評価モジュール,参照デザイン,技術ドキュメントは,同社のWWWサイトから提供している。

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