米Texas Instruments(TI)社は,シングル・セルのリチウムイオンとリチウムポリマ電池向けに,バッテリ残量やシステムの残り稼働時間の測定/計算を行うソリューション「bqJunior(bq270x0)」を米国時間2月20日に発表した。この新しいチップは,シングル・セルのポータブル・アプリケーションへのバッテリ残量測定システムの実装にかかる開発時間とコストを大幅に削減する。

 標準的なバッテリ・モニターと異なり,同製品はオンボードのプロセサを組み込み,バッテリ残量,システム稼動が可能な残り時間を計算する。統合された電圧周波数変換器を使ってバッテリの充電と放電電流を誤差1%で測定する。回線上の別のADコンバータは,バッテリ電圧と温度を測定する。bqJuniorは,測定された値を入力してアルゴリズムを実行することにより,バッテリ残量と残り稼働時間を計算する。

 同製品は,バッテリの放電率と温度の変化に合わせてバッテリ残量と残り稼働時間の補正を行う。アルゴリズムとデータ・セットの計算を実行するため,ホスト・システムのプロセサにこれらのタスクを実装するためのコードを開発し,組み込む必要がない。そのため,開発時間と実装コストが削減できる。ホスト・システムのプロセサは,bqJuniorのデータ・セットを読むだけでバッテリ残量などの数値を知ることができる。同製品は,その他にも使用可能な電力,平均電圧,残量ゼロと充電完了までの電圧,時間といったさまざまなバッテリと電力管理機能を提供する。

 同製品の動作に必要な電流は100uA未満。バッテリ消費を抑えるために3つの低電力スタンバイ・モードがある。同社の「OMAP1510」,「OMAP5910」プロセサなどのシステム・ホスト・コントローラにデータ・セットを渡すためにシングル・ワイヤの通信ポート(HDQプロトコル)を備えている。

 「bqJunior」は現在限定された顧客に向けて出荷されている。量産は2003月第2四半期に予定している。bqJuniorデバイスは,3mm×4mmのTSSOPまたはQFNでパッケージでされる。1000個購入時の予定単価は,2.55ドルに設定されている。

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