米国電気電子技術者協会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)は,モバイル機器用バッテリの規格「IEEE 1625」を米国時間4月12日に発表した。同規格,「IEEE P1625 Standard for Rechargeable Batteries for Mobile Computers」(モバイル・コンピュータ用充電型バッテリ規格)は,システム全体を考慮するアプローチでバッテリの信頼性を改善する。

 IEEE 1625は,バッテリとバッテリ・パックの設計,評価,製造とともに,そのバッテリで動作するモバイル・コンピュータに関する最低限のガイドラインを定めている。バッテリの的確性,プロセス管理,相性,パッケージング,エンド・ユーザーへの通知といった領域に一貫性をもたらす。また,バッテリが障害を起こす要因の組み合わせを考えた複数のシナリオも提供する。そのため,温度,衝撃,振動,その他のストレスによるリスクを最低限に抑える保護機能が追加される。

 「より強力なモバイル・プロセサ,無線アプリケーションの増加,高度なグラフィック機能とともに,モバイル・コンピュータの日常的な利用が増加しているため,リチウムイオン・バッテリ・パックは,信頼性と堅牢性を向上させる必要がある。他のバッテリ標準ではバッテリかパックを強調する傾向にあるが,IEEE 1625は,バッテリとシステムのそれぞれ,また両方をあわせた全体の要素に配慮している」(IEEE 1625 Working Group議長のJeff Layton氏)

 同規格の策定には,モバイル機器用バッテリやバッテリ・パック,バッテリを利用するシステムといった分野で経験を有する主要企業が参加している。これら企業の協調により,同規格は,15ヶ月で完成された。策定を行なったワーキング・グループには,Battery-Biz社,Compal社,Electronics社,Dell社,Dynapack社,Fedco Electronics社,Hewlett Packard社,IBM社,Inventec社,Motorola社,National Semiconductor社,Panasonic社,Quanta社,Samsung社,Sanyo, Sony社,Solectron社,Texas Instruments社,Wistron社が参加している。

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