今年11月14からラスベガスで開催される予定だったIT業界の展示会「COMDEX Las Vegas 2004」の中止が決定した。主催者である米MediaLive Internationalが,米国時間6月23日に明らかにしたもの。同社はIT業界の主要企業で構成する諮問委員会「COMDEX Advisory Board」を設置し,「将来のニーズに応えるための同展示会の方針を検討する」としている。

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,COMDEXは1979年に第1回を開催。約150社が出展し,来場者は4000人だった。その後規模が拡大し,ピークの1998年には2480社が出展し,来場者は21万2000人にのぼった。しかし,IT経済の低迷や米同時多発テロなどにより,2001年の来場者は12万5000人に減少した。1999年より運営にあたっていた米Key3Media Groupが経営破綻し,米連邦破産法11条から更正した2003年に,社名を変更した。

 同社は昨年,経営陣を刷新し,COMDEXの位置づけを企業中心に移行した。「COMDEX Las Vegas 2003では,550社が出展し,4万人の技術バイヤーと900人以上の記者が来場した」(MediaLive社)

 MediaLive社社長兼CEOのRobert W. Priest-Heck氏は,「この1年間,技術業界最大のイベントを運営する責任を引き受け,COMDEXの位置づけを見直し,市場の信頼を再構築することに努めてきた」と述べた。また,「今年COMDEXを開催して黒字を出すことは可能だが,主要な技術企業の支援を得ないままそうすることは,業界にとって利益にならない。諮問委員会がCOMDEXの再設計に取り組む十分な時間と機会をとれるように,今年は延期することが最善だと判断した」と説明した。

 「9150億ドル規模のIT業界には,主要技術企業が中立的な場所で世界の顧客に向かって話し,バイヤーが一度にあらゆる選択肢を比べ,戦略リーダーが業界の将来について語り合えるイベントが必要だと確信している。我々は,最高の展示会を構築するために業界と協力することを切望している」(MediaLive社COMDEX担当バイス・プレジデント兼ジェネラル・マネージャのEric Faurot氏)

 諮問委員会は,ベンダー,バイヤー,メディアなどの見地から,業界展示会の価値の査定に即座に取りかかる。その後,業界のニーズに合ったCOMDEXの方針転換を勧告する。諮問委員会には,米AMD戦略コミュニケーション担当バイス・プレジデントのJohn Volkmann氏,米Borland Software開発ツール担当ジェネラル・マネージャ兼バイス・プレジデントのGeorge Paolini氏,米EMCコーポレート・コミュニケーション担当バイス・プレジデントのMark Fredrickson氏,Global Technology Distribution CouncilのCEOであるTimothy J. Curran氏,米Microsoftイベント担当ディレクタのJeff Singsaas氏,米Oracle技術マーケティング担当バイス・プレジデントのRobert Shimp氏,韓国Samsung Electronicsの戦略マーケティングおよびニュー・メディア担当上級バイス・プレジデントのPeter Weedfald氏のほか,米Cisco Systems,米Dell,米Intelなどの幹部が参加する。

 なお,ブラジル,韓国,サウジアラビア,ギリシャやスカンジナビアのCOMDEXは予定通り開催する。次回ラスベガスで開催するCOMDEXは2005年11月13~17日となる。

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