「景況の改善に伴い,企業の上級管理職の優先課題は,大局的なものから,具体的で実践的なものへと変わりつつある」。米Gartnerの調査サービス部門であるGartnerG2と米Forbes.comは,2004年における企業の優先課題について調査した結果を米国時間3月16日に発表した。

 調査は2003年12月~2004年1月にかけて,従業員1000人以上を抱える企業の上級管理職462人を対象に実施したもの。

 企業が最優先にしている課題は,「売上高の増加」と「顧客の獲得および維持」だった。また,企業が損益改善を迫られていることを反映して,2位に「生産性の向上」,3位に「コスト削減」が挙げられた。4位の「市場シェアの拡大」は,昨年の8位から順位を上げた。

 昨年と比べ,優先度が最も上がった課題は,「市場投入の期間短縮」だった。一方で,「企業戦略の策定」や「中核業務への注力」といった長期的な課題は,大きく順位を落とした。

 GartnerG2部門副社長のNeil MacDonald氏は,「経済状況が上向きになったことで,企業は売上高を伸ばし,損益を改善することを最優先している。現在,企業の幹部が重点を置いているのは,市場機会にすばやく対応できる柔軟な組織作りである」と説明した。

 また,IT分野の最優先課題については,「IT投資のROI(投資回収)」「セキュリティ確保」「プライバシ確保」などが挙げられた。しかし同じ回答者が,「IT部門の管理職から指導を受ける」ことを,IT分野で最も優先度の低い課題と見なしているなど,相反する結果がでた。

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