米Hewlett-Packard(HP)は,国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士に携帯情報端末「iPAQ Pocket PC」を提供していることを米国時間5月6日に明らかにした。同社の「iPAQ h5550」は,4月19日にISSに向けて打ち上げられたロシア宇宙船Soyuzのクルーおよび同機に搭乗する宇宙ステーションの長期滞在クルーのExpedition 9によって利用されている。

 iPAQは,モバイル・ツールとしてクルーの日常的な行動の記録,個人的なメモ,電子メールとカレンダのチェックに利用される。また,地上にいたときのように音楽を聴いたりeブックを読むこともできる。iPAQは,新しいクルーが再設定して利用できるようにISSに残される。次回のフライトでは,iPAQが2台追加されて合計4台になる。

 また,地上でもNASAのジョンソン宇宙センターとロシアのスター・シティ宇宙センターにおいて,トレーニング・プロセスでiPAQ Pocket PCが使用されるとともに,将来のフライトにおける新しい利用方法の評価が行なわれる。

 HP iPAQ h5550は,NASAの技術チームによって多少の修正が加えられたが,宇宙フライトに耐えるための同局の厳しい認証テストに合格している。宇宙飛行に合わせたカスタム設計や再エンジニアリングを必要としないため,iPAQは予定よりも早くNASAに届けられた。本体とともに充電バッテリ,PC Card Expansion Pack,バーコード・スキャナ,SDカードも提供された。

 将来的に,HP iPAQ h5550には,国際宇宙ステーションにおけるインベントリ管理を行なうためにバーコード・スキャナとNASAが開発したソフトが装備されるという。

 同社は,NASAのミッション・コントロール・センター,ジョンソン宇宙センター,ケネディ・スペース・センター,ジェット推進研究所(JPL)にインフラ・ハードウエア,サポート,ネットワーキング,ソフトウエアなどを提供している。

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