「音楽業界にとって,『iTunes』のような合法的なデジタル音楽ネットワーク配信サービスや,将来性がある携帯電話の着信音などの新しいタイプの音楽サービスは,成長領域であるとともに課題のある領域である」。米BearingPoint社Media & Entertainmentの常務であるShahid Khan氏がこのような見方を明らかにした。

 同氏によれば,音楽業界は,コンテンツ所有者と新しいビジネス・ベンチャー側の両方からの問題に直面する。これらの成長領域は無視できない存在になっており,レコード会社は,同市場に対応しなければ取り残されてしまうという。また,同業界は,新しいビジネス・ベンチャーにとってさまざまなチャンスがあるが,特にインフラとサポート・サービス部門でそのチャンスが大きい。

 同氏は,同市場に関して次の問題を挙げておりディスカッションを受け付けている。

・他のサービスを真似たモデルが入り込むすき間はない。新しいベンチャーは,収益性と生存性を示し,革新的なビジネス・モデルと顧客に価値のある提案をしなければならない。

・ニッチ企業にとって将来的な市場機会がある。これには,課金,デジタル著作権の管理,著作権のトラッキング,売り上げ監査,使用料の報告機能を含むエンド・ツー・エンドのインフラ,サポート・サービスなどが含まれる。

・ユーザーの要望が国際化するため,新しいベンチャーは新しい地域から出現する可能性がある。しかし,地域によって分散インフラが異なる可能性があるため,国際化の対応に影響がある。

・知的資産の保有者(パブリッシャとレコード会社)は,市場機会により迅速に対応するためにリリース予定,製品作成,契約管理,使用料の配分までの内部プロセスとシステムを見直す必要がある。

・アーティストとソングライターとの契約において,特に将来的な著作権の獲得が大きな問題となる。

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