「北中南米における2003年のGSM加入者は100%増加し,2位の無線技術に大差をつけて西半球で最大のシェアを獲得した」。無線通信の業界団体3G Americasが,仏カンヌで開催中の携帯電話業界のカンファレンス「3GSM World Congress」にて現地時間2月23日に発表した。また,同カンファレンスにおいて,世界のGSM加入者数は10億人を超えたことも明らかになった。

 米EMCのデータによれば,中南米におけるGSM方式の人気は高く,2003年のGSM加入者ベースはおよそ150%増加している。この増加数は,次に加入者が多かった無線方式の6倍を超える。北米市場では,カナダと米国による全国規模のGSM/GPRSネットワーク配備が進み,同年のGSM加入者は77%増加した。北中南米の全体を通じて,GSM方式は新規加入者をもっとも多く獲得している。

 2003年第4四半期でみると,北中南米地域のGSM新規加入者は1100万人を超えている。同地域の新規加入者の90%はGSM方式が占めている。

 通信事業者は,引き続きGSM,GPRS,EDGE,UMTS/WCDMAといったGSM方式の技術を選択している。過去1年で北中南米地域において52の新しいGSMネットワークが配備されている。また,2001年中旬から,同地域のTDMA事業者はGSMへの移行を始めており,2003年には,CDMA事業者の4社がGSM移行ルートに切り替えているという。

 EMC社の中南米アナリストのEva Benguigui氏は,「America Movil社やMillicom International社が中米における子会社を通じてGSMを配備するという決断を下したことにより,GSM技術が促進される。同地域におけるGSM加入者ベースは2004年末までに大幅に拡大するだろう」と述べている。

 同社の調査によれば,中南米のアルゼンチン,メキシコ,ブラジルにおける大規模な市場でいくつの通信事業者がAmerica Movil社などの投資家に買収された。買収された企業の大半がGSMネットワークに移行するという。また,コロンビア,エクアドル,ホンジュラスにおいて新規でPCSライセンスを取得した企業の3分の2がGSMを選択している。そのため,同地域におけるGSM加入者の増加も見込まれる。

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