米Xeroxが,カラー・プリンタなどで使える新たなカラー・キャリブレーション(色校正)技術を,米国時間11月7日に発表した。Xerox社では,「将来カラー・プリンタだけでなく,液晶(LCD)パネルなどのカラー対応装置でも,より豊かで正確な色合いを表現するために利用できる手法」としている。

 カラー・プリンタでは,紙に印刷する色と人間の目で見た色を一致させるために,カラー・キャリブレーションという処理を行う。具体的には,印刷に使うインクやトナーの量をプリンタに指示する目的で,数学的な変換式を使って演算する。現在は,シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック(CMYK)の各色をそれぞれ個別に調整する1次元変換式を使う方法が一般的である。

 同社によると,「1次元変換式は,低コストで実装できて簡単な点がメリット」という。「しかし,経年変化やカラー・トナーを紙に転写する条件が変わるなど印刷結果が変化してしまうと,各色を個別に変換する方法ではシステム全体を正しく調整することはできない」(同社)

 1次元変換式の弱点を克服するため,レッド/グリーン/ブルー(RGB)の3色やCMYKの4色を同時に調整する3次元/4次元変換式という手法も存在する。ところがこうした方法は複雑なため,プリンタに実装する際のコストが高く,調整パラメータを決定する作業量が膨大なことから,現実的ではないという。

 そこで同社は,両手法の長所を併せ持つ2次元変換式に着目した。「我々の研究では,プリンタやカラーLCD機器でより正確な色出力を実現する経済的な手法として,存在を忘れられていた2次元変換式に注力した」(Xerox社イメージング&サービス技術センター主任科学者のRaja Bala氏)。その結果,「現在のカラー・キャリブレーションにわずかな演算処理を加えるだけで,1次元的な手法に比べ色の再現性と安定性を大幅に改善できる」(同社)。

 「数年前は,2次元キャリブレーションに0.5Mバイトのディスク領域が必要になることから,とても実装は無理だと考えられていた。けれども技術進歩のおかげで,我々の開発した新しい2次元キャリブレーション・テーブルをプリンタやプリント・コントローラに組み込むことが,以前より経済的に行える」(Bala氏)

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