米Xeroxの研究グループが,当てる光の波長によって異なる画像を表示するカラー印刷技術「Switch-A-View」を開発した。Xerox社が米国時間5月15日に発表したもので,ニューヨーク州で開催されたSociety for Imaging Science and Technology's PICS 2003 Conferenceでデモンストレーションを行った。「光を制御することで現れる画像を変えられる,初めての高画質カラー印刷技術」(同社)とする。

 通常印刷した画像は,当てる光の波長によって見え方が変わる。Switch-A-Viewは,その見え方の違い強調する技術という。例えば同技術を使って1枚の紙に2種類の画像を印刷しておくと,青い光を当てたときには1つ目の画像だけが現れ,赤い光を当てたときにはもう一方の画像だけが浮かび上がる,といった表現ができる。

 同技術を利用するには,専用の色管理ソフトウエア,カラー・キャリブレーション機能を持つプリンタ,「characterized illuminant」と呼ばれる波長の幅を狭めた特殊な光源などが必要。

 同社は「さまざまな用途に同技術を応用できる」と説明する。主な応用例は以下の通り。

・荷物の送り先や内容などの情報を同技術で印刷しておく。自然光や通常の照明など一般的な環境ではただのデザインにしか見えないが,特定の光を当てると隠しておいた情報を見ることができる

・ソフトウエア製品や音楽CD,書籍などにシールを張っておくと,光を当てるだけで模造品を見つけられる

・普段は見えない画像をTシャツに印刷し,クラブの照明に当たったときだけ浮かび上がるようにする

・映画館で販売するポップコーンの箱に応用すると,“スクリーンに特定の色を投影したとたんある人物が現れる”といった演出が可能になる

 同社は同技術で特許を取得しており,ライセンスの供与を行うとしている。

◎関連記事
米Xerox会長が株主総会で経営方針を発表,「財務状況が改善した。今後は成長分野に重点投資」
米Xerox,低価格で小規模企業と家庭に光ファイバをもたらす画期的な技術を開発
米ゼロックス,視覚障害者向けのコピー機操作ソフト「Copier Assistant」を発表
米ゼロックスが半導体回路向け新有機ポリマーを開発,「電子ペーパー実現に1歩接近」
米Xeroxと米University of Rochesterが画像へのデータ埋め込みと取り出しで新しい技術を発明
米ゼロックスがPARCを独立企業に,2002年1月に業務開始
ハイテク企業の幹部らがマーケティング研究会を設立。アイデアの共有と交換を狙う
「世界の違法コピー率10ポイント減で,雇用口を150万,税収を640億ドル創出できる」,米BSA

[発表資料へ]