米Sun Microsystemsは,オープン・ソースのデスクトップ環境「Project Mad Hatter」やJavaベースの3次元(3D)デスクトップ技術,「StarOffice」の次版などの紹介を行った。Sun社ソフトウエア担当上級副社長のJonathan Schwartz氏が米国時間8月5日に,サンフランシスコで開催されたLinuxWorldの基調講演で発表したもの。
Project Mad Hatterは,Linux,Solaris,SunRay用の総合的なデスクトップ環境で,「内容を紹介するのは今回が初めて」(同社)。Java技術を使用しており,オープンなGNOMEデスクトップ環境,米Ximianのメール/スケジュール・アプリケーションEvolution,インスタント・メッセージング・ソフトウエアGaim,Sun社のオフィス・スイート製品「StarOffice」を含む。米MicrosoftのOfficeとExchange,米IBMのLotus Notesとの相互接続性を備え,Java CardおよびSun ONEスタックにより安全性と認証サービスを強化したという。
Sun社は,2003年9月に開催するSunNetworkカンファレンスでProject Mad Hatterの正式発表を予定している。
また同社は,3Dデスクトップ技術「Java 3D」のデモンストレーションも行った。これはLinux上でJavaを利用し,Opne GLバインディング用Javaを使って実現したもの。なお同社はオープン・ソース・コミュニティのjava.netに対し,先ごろ同技術のソース・コードを提供したという。
同社がLinuxWorldで発表したそのほかの主な項目は以下の通り。
・Open Source Development Lab(OSDL)に参加:
Linuxの普及促進を目指す非営利団体OSDLに参加し,Linuxを含むオープン標準ソフトウエアの開発推進を支援する
・x86ベースのシステムの提供:
「Solaris x86」またはLinuxの動作するシステムを提供し,教育,中規模市場に攻勢をかける
・ドイツSuSE Linux AGとの提携:
企業向けLinuxとJavaの推進に向け世界規模の提携を結んだ。これによりSun社は,「SuSE Linux Enterprise Server 8」を出荷し,サポートを担当する。一方SuSE社は,Java 2 Standard Edition(J2SE)のソース・コードのライセンスを受け,自社製品と併せてJava Virtual Machine(JVM)を顧客に提供する。ちなみにSun社は米Red Hatとも同様の提携を結んでいる
・米AMDとの提携:
AMD社の64ビット・プロセサOpteronでJava技術を標準対応させるために提携した。Opteron上で64ビットLinux/Winodowsを利用可能とすることで,ほとんど,またはまったくコードを変更することなく,使用中のJavaアプリケーションを32ビット環境から64ビット・プラットフォームに移行できるという
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