米Sun Microsystemsが米国時間6月11日に,Java 2 Platform, Standard Edition(J2SE)の新バージョンなどのJava技術に関する今後の計画を,サンフランシスコで開催中のJava開発者会議「JavaOne Developer Conference」で明らかにした。
Sun社は,アプリケーション開発者の増加によってJavaの広範な普及が実現すると考える。「現在300万人強のJava開発者を約1000万人に拡大することを目標とし,他の技術を使っている開発者のJavaへの移行を推進する」(Sun社)としている。
今回発表した主な計画は以下の通り。
・Project Rave(開発コード名):企業におけるJava技術の開発と導入を促進するための新たなツール。今秋リリースする予定。「開発者やIT部門が必要とする要素をすべて用意しており」(Sun社),ドラッグ・アンド・ドロップ操作のレイアウト,現在開発中のJavaServer Faces仕様に基づいたイベント・ベースのシンプルなコーディング・モデル,簡単なデータ・アクセス,JDBC Rowsets技術などを備える。また,Webサービスの利用を簡素化し,アプリケーション導入の複雑さを軽減する
・J2SE 1.5とJava 2 Platform, Enterprise Edition(J2EE)1.5:デスクトップ・パソコン向けJava規格と企業システム向けJava規格の最新版の開発。J2SE 1.5では,メタデータ,ジェネリック型,列挙型をはじめ,XML規格,他社のスクリプティング言語への対応を強化する。J2EE 1.5は,JAX-RPC(2.0),EJB(3.0),JDBC(4.0),JAXB(2.0),JavaServer Faces向けの新たな仕様を組み込む
・Java Specification Request(JSR)223:PHPなどのスクリプティング言語に対応した新たなAPI
・Project Relator(開発コード名):GUI設計者とJ2MEプログラマ向けのコラボレーション・ツール。J2MEベースのマルチメディア・コンテンツ開発を促進する。初回リリースは2004年中頃の予定
・J2EE1.4ソフトウエア開発キット(SDK):ベータ2リリース版の配布を開始。五つのWebサービスAPIを提供し,Webサービスのセキュリティ仕様「Web Services Interoperability Organization(WS-I)Basic Profile」に準拠する
・Sun ONE Studio 5, Standard Edition:企業のJava開発者向け統合開発環境(IDE)の最新版。「Sun ONE Application Server 7」との連携を高めており,Webサービス利用に対応する。オープン・ソース版IDEのNetBeans 3.5もリリースする
・Jini Starter Kit 2.0:分散コンピューティング技術Jiniのスタータ・キットの新版。無償で入手可能
・Sun Developer Network:Java開発者向けの新たなポータル・サイト。ベスト・プラクティスやノウハウを提供する
そのほか,「Java Web Services Developer Pack(Java WSDP)1.2」のリリース開始や,開発者向けコミュニティ・サイト「java.net」への「Java Web Services API」公開などを発表した。
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