米QUALCOMMは,同社の暗号化アルゴリズム「SOBER」とその後継となる「Turing」を公開することを米国時間2月28日、明らかにした。これまでは,ライセンス契約を交わしたメーカーが非商用目的で使う場合のみ,アクセスを許可していたものだ。

 両アルゴリズムのソース・コードは同社のWebサイトから入手できる。

 TuringとSOBERは高速で高セキュリティのストリーム暗号で,「いかなる実用的暗号解析を用いた攻撃でも破ることはできない」(QUALCOMM社)としている。ストリーム暗号は,一般的なブロック暗号より効率的な暗号化が可能とされ,ハードウエアへの実装が比較的低コストで行える。ときには,専用ハードウエアを導入することなくソフトウエアに実装して利用することが可能。

 Turingの名称は,英国の数学者であり暗号技術者のAlan Turing氏(1912~54年)にちなんだ。QUALCOMM社によれば,TuringアルゴリズムはAdvanced Encryption Standardアルゴリズムと比べてはるかに高速で,CDMAネットワーク,インターネット,電子商取引に高度な保護機能を提供するという。

 QUALCOMM社技術担当バイス・プレジデントのGreg Rose氏は,「暗号化技術が無線ネットワークを保護するため,通信事業者はすべての携帯電話機の通話が守られていることを確信できる。しかし,暗号化技術の価値は使ってみなければ分からない」と述べた。

 なお,同社は最近,SOBERとTuringに関する技術で,米国特許庁より米国特許を取得している。特許番号は6,510,228で,タイトルは「Method and apparatus for generating encryption stream ciphers」。1997年9月22日に申請し,2003年1月21日に成立した。32件のクレームからなる。

◎関連記事
フィンランドのNokiaと米IBMが携帯電話向けに,エンド・ツー・エンドのセキュアなビジネス・アプリケーションを共同で提供
米RSA,iアプリ向け2因子認証ソフト「RSA SecurID Software Token」を発表
「モバイル・セキュリティ・ソフトウエア市場は年平均69%で拡大,2006年には10億ドル規模に」,IDCの調査
Wi-Fiアライアンスが無線LAN向けセキュリティの新方式「WPA」を発表。「既存製品でも利用可能」
W3Cが「XML Encryption」と「Decryption Transform」をW3C勧告として発表
W3CがXML用電子署名仕様「XML Signature」をW3C勧告として発表
「無線LANのセキュリティを高めよ」。暗号化製品の展示相次ぐ

[発表資料へ]