「広告業界の回復は,ストリーミングをはじめとするリッチ・メディア広告の人気によるところが大きいが,リッチ・メディアは帯域を大幅に消費するとともに,従業員が仕事に集中しなくなるので,職場の生産性を低下させる可能性がある」。米Websenseが米国時間2月6日に発表した。

 同社によれば,オンライン広告サーバーとバナーの数は,過去12カ月で30%増加している。また,米Global Insight社は,米国の広告市場が2003年に6%成長すると予測している。

 ストリーミング・メディア,フラッシュ,ダウンロード・アプレットなどのリッチ・メディアを使った広告は人気を獲得しており,同業界の回復に貢献している。オンライン広告を手がける米DoubleClick社によれば,2002年に配信されたインターネット広告は,リッチ・メディアを含むものが増える傾向にあった。同社が同年第4四半期に提供したオンライン広告のリッチメディア数は,同年初旬から43%急増している。同社が提供する広告全体の25%を占めるようになった。

 「この成長は,苦闘する業界においてポジティブな話題ではあるが,帯域幅を大量に使うリッチ・メディア広告は,企業ネットワークを枯渇させる可能性がある。仕事中の従業員をターゲットにしている点も気になる。派手なリッチ・メディア広告は,ネットワークの深刻なボトルネックの原因になるとともに,企業にとって生産性の妨げになる」(Websense社のCTO のHarold Kester氏)。

 ストリーミング・オーディオ,ビデオ,DHTMLなどさまざまな技術を用いたリッチ・メディア広告は,Webサーファに対して効果を上げている。DoubleClick社によれば,1年間でクリック・スルー率が47%増加したという。オンライン広告提供者によっては,オンライン広告とオンライン映画を合わせた「アドバーテイメント(advertainment)」と呼ばれるリッチ・メディアを作成している。前年のBMW社の広告シリーズでは,有名な監督によるショート・フィルムを提供し,1400万のユーザーがこれを閲覧した。

◎関連記事
「2002年Q3はリッチ・メディア・オンライン広告がQ1より34%増加」,米ダブルクリック
「2002年のオンライン広告支出は成長せず,しかし2003年は前年比10%増で回復へ」,と米調査
あちこちで目につくポップアップ広告だが,オンライン広告で占める割合はたったの2%
5月のオンライン広告が前年から77%増の9400万インプレッションに,米ニールセンが発表

発表資料へ