「ポップアップ広告が多用されている印象が強いが，オンライン広告を手がける企業の9.2％しか利用していない。また，2002年1～7月におけるオンライン広告全体で，ポップアップ広告（ポップアンダー広告を含む）が占める割合はわずか2％（インプレッション数113億回）である」。米Nielsen//NetRatingsが米国時間9月4日に，ポップアップ広告の利用状況に関する調査結果を発表した。
ポップアップ広告とは，あるWWWサイトにアクセスすることで自動的に前面に表示される広告ウインドウを指す。ポップアンダー広告も同種のもので，ウインドウが背面に現れる。
ポップアップ広告の利用が平均を大きく上回るサイトとして，コミュニティ・サイト，イエローページ，ゲーム・サイトなどがある。逆にポップアップ広告を敬遠する傾向があるのはポータル・サイト，検索エンジン，小売関連サイト。また，ポップアップ広告の80％をわずか63社の広告会社が占めており，残り20％は2145社によるものだ。
「ポップアップ広告は2001年初めから普及し始めたが，当初よりユーザーの不評をかっていた。しかし，消費者はポップアップ広告がオンライン広告市場で占める割合が思いのほか小さいことを知って驚くだろう」（Nielsen//NetRatings社Client Analytics部門担当副社長のCharles Buchwalter氏）
2002年前半におけるポップアップ広告の用途をみた場合，ポップアップ広告をブランドの認知度向上よりも，ダイレクト・マーケティングの一環として利用する企業が多かった。例えば，トラフィックを広告主のサイトへ誘導する狙いの広告は全体の58％（インプレッション数65億回）に達している。また，売り上げ増加を狙ったインセンティブを提供する広告は全体の26％を占めた。つまり，ポップアップ広告の84％がダイレクト・マーケティング戦略に利用されており，業界の平均値である64％を大きく上回っている。
■表1 ポップアップ広告の用途別シェア（2002年1～7月）
インプレッション数 シェア
用途 （単位：百万）
トラフィック誘導 6,532 58%
売上げ増加 2,889 26%
認知度向上 1,459 13%
市場での位置確立 446 4%
出典：Nielsen//NetRatings社
ポップアップ広告の利用企業をインプレッション数ベースでみた場合，ワイヤレスカメラ・メーカーのX10 Wireless Technology社が，2位のOrbitz社を大きく引き離してリードしている。Buchwalter氏は「ポップアップ広告に対する消費者の好感度は一般的に低いが，ブランドに与えるマイナスのイメージよりもメリットが大きいと判断する企業がいるのは明らかだ」と説明。また同氏は，「消費者に不評であることを考慮して，ポップアップ広告を排除するWWWサイトが増えているが，消費者に受け入れられやすい新しいデザインの広告も生まれるだろう」と予測した。
■表2 ポップアップ広告の利用企業トップ10（2002年1～7月）
企業名 インプレッション数
（単位：百万）
1. X10 Wireless Technology 1,013
2. Orbitz 687
3. Providian Financial 679
4. Cendant Corporation 561
5. Cassava Enterprises 548
6. Dell Computer 484
7. Bonzi Software 337
8. Morgan Stanley 303
9. Columbia House 223
10. Advertising.com 216
出典：Nielsen//NetRatings社
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