米DoubleClickが米国時間12月5日に,2002年第3四半期に同社が扱ったオンライン広告に関する調査結果を発表した。それによると,オンライン広告の大部分が対象顧客を絞り込んでおり,リッチ・メディアの利用が増えているという。また,クリック・スルー率に変化はなく,ビュー・スルー率が増加した。

 主な調査結果は以下の通り。

・ターゲット広告:
 全体の73%以上の広告が,何らかの形で対象顧客を絞り込むターゲット広告だった。その中では,82%の広告がキーワードを使った絞り込みを利用している。ターゲット広告の12%は特定地域のみを対象とし,3%は特定日時を対象とするものだった。

・リッチ・メディア:
 全体の25%近くがリッチ・メディアを利用した広告で,第1四半期に比べ34%増えた。リッチ・メディア広告は動きのないバナーよりもレスポンス率が高く,より強くブランドを印象付けることに成功している。リッチ・メディア広告の平均クリック・スルー率は2.7%で,第1四半期の2.5%とほぼ同じ値となった。それに対しリッチ・メディアを使わない広告のクリック・スルー率は0.27%で,第1四半期の0.4%から減少している。

・広告のサイズ:
 広告企業で構成する業界団体Internet Advertising Bureau(IAB)の定めた標準サイズの広告が現在も全体の約70%を占めている。標準サイズの広告は多くのサイトで掲載が容易に行えるためである。標準的な468×60ピクセルのバナーが50%で,依然として最も多くかった。その次に多用されたサイズは120×600ピクセルの縦型で,全体の6.3%を占めたという。縦長の広告は第1四半期に比べ67%急増し,全体の7%以上を占めるようになった。より大きなサイズの広告が増えており,第1四半期に比べ85%増加。しかし,全体に占める割合はわずか1.3%である。

・ビュー・スルー率:
 平均クリック・スルー率は第2四半期と第3四半期ともに0.69%,第1四半期は0.7%と安定した状態にある。さらにビュー・スルー率(バナーをクリックしないが,広告を見てから30日以内に対象サイトを訪れたユーザーの割合)は,第1四半期が0.36%だったのに対し第3四半期は0.51%に上がった。つまり,1000人のユーザーのうち5人が,クリックしていない広告に対して何らかの反応を示したことになる。

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