中国のDatang Mobile Communications Equipment,オランダのRoyal Philips Electronics,韓国のSamsung Electronicsが,TD-SCDMA方式携帯電話機向け技術の開発などを手がける合弁会社「T3G」を設立する。各社が米国時間1月20日に明らかにしたもの。T3Gは携帯端末とエンドユーザー機器を対象に,中国向け第3世代(3G)携帯電話規格であるTD-SCDMA対応のLSIと参照設計について,開発やライセンス供与を行う。

 「2004年に利用可能となるであろう初の商用TD-SCDMAハンドセットの生産を加速するため,ハンドセット・メーカーや携帯電話機設計会社に対し包括的なソリューション(参照設計,ハードウエア,ソフトウエア)を提供する」(Philips社)

 この参照設計を利用すると,中国国内で経済的なTD-SCDMA/GSMデュアル・モード・ハンドセットの開発を高速化できるという。「これにより,通信事業者は第2世代(2G)から3Gへの移行が容易になる」(Philips社)

 T3Gでは,TD-SCDMA/GSM(GPRS)デュアル・モード・モバイル・ハンドセット用の中核LSIおよび参照セットの開発を計画している。同ハンドセットは,Samsung社やほかのハンドセット・メーカーが発売すると見込む。

 「T3Gの技術は,消費電力削減や待ち受け時間延長というメリットをもたらすことで,3G対応ハンドセット普及に対する現在のボトルネックを小さくする」(Philips社)

 なお,Datang社,Philips社,Samsung社はT3Gに対し,資本,技術,人員,マーケティングなどの面で投資を行うとしている。ただし,出資金額など具体的な条件については明らかにしていない。

 Samsung社モバイル・コミュニケーション部門担当副社長のShin, Jong Kyun氏は,「中国は世界最大の携帯電話市場であるが,まだまだ掘り起こされていない需要が残っている」と説明する。

 「当社はT3Gのソリューションを使用して,2004年に商用ハンドセットを発売する計画だ。これにより,TD-SCDMAがその可能性をフルに発揮するようになるだろう。TD-SCDMA対応ハンドセットの製品化にかかる期間を短縮することで,加入者数が記録的な速さでクリティカル・マスに達する可能性がある」(同氏)

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