米MicrosoftはWebサービス・アプリケーション構築用のアドオン・パッケージ「Web Services Enhancements 1.0(WSE)」を米国時間12月16日,発表した。Webサービス・アプリケーションをWS-Security,WS-Routing,WS-Attachmentsといった仕様に対応させる。
WSEはVisualStudio .NETや.NET Frameworkと組み合わせて利用可能。「開発者はWebサービス・アプリケーションにほんの数行のコードを加えるだけで,業界の最新技術に対応することができる」(Microsoft社)。ちなみにMicrosoft社はWSEの技術プレビューを2002年8月に行っており,その後テストなどを実施し,今回Webでのリリース(RTW:release to Web)に至った。
なおWS-Securityは,Microsoft社,米IBM,米VeriSignが共同で開発し,4月に発表したWebサービス向けセキュリティ仕様である。3社は同仕様をXML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)に提出し,OASIS内で技術委員会を発足させている。
WS-RoutingはこれまでSOAP-RPと呼んでいたSOAPの拡張仕様で,SOAPメッセージ・ヘッダでのアドレス記述法を規定する。WS-Attachmentsはバイナリ・データをSOAPメッセージに添付する方法を記述した仕様で,Microsoft社とIBM社が2002年7月に,標準化団体IETF(Internet Engineering Task Force)に共同提出した。
WSEの主な特徴は以下の通り。
・セキュリティ:プラットフォーム全体にわたる安全なXML Webサービスの構築を支援する。SOAPメッセージの電子署名や暗号化を施すための機能を備える。WS-Security仕様に対応する。
・ルーティング:WS-Routing仕様を使ってSOAPメッセージを中継し,XML Webサービスのルーティングを行う。
・添付:XML Webサービス間でやりとりするSOAPメッセージにバイナリ・データを添付できる。WS-Attachments仕様をベースにする。
・拡張フレームワーク:SOAPメッセージを処理するシステムを拡張し,暗号化および署名機能を適切なセキュリティ・インフラに合わせてカスタマイズできる。
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