米MicrosoftはWebサービス・アプリケーション構築ツール「Web Services Development Kit(WSDK)」のプレビュー版の無償提供を米国時間8月26日,発表した。WS-Security/WS-Routing/WS-Attachments仕様対応のWebサービス・アプリケーションを作成する際に,利用できるツールである。

 WSDKのダウンロード方法および詳細については,同社のMSDNサイトに掲載している。

 同ツールを使うと,Visual Studio .NETおよび.NET Frameworkを強化し,WS-Securityなどの新しいWebサービス仕様の記述や実装を簡素化できるという。「WSDKにより,Visual Studio .NETの開発者は,既存のWebサービス・アプリケーションにコードを数行追加するだけで,WS-Security互換の電子署名や暗号化機能を追加できる」(同社)

 なおWS-Securityは,Microsoft社,米IBM,米VeriSignが共同で開発し,4月に発表したWebサービス向けセキュリティ仕様である。W3C(World Wide Web Consortium)の「XML Signature」と「XML Encryption」を,SOAPとどのように組み合わせて使用するかについて規定している。

 3社は同仕様をXML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)に提出し,OASIS内で技術委員会を発足させている

 またWS-Routingは,Microsoft社が2001年10月に発表した,次世代Webサービスの設計思想「The Global XML Web Services Architecture」に対応する仕様の一つである。これまでSOAP-RPと呼んでいたSOAPの拡張仕様であり,SOAPメッセージ・ヘッダでのアドレス記述法を規定する。

 これらの仕様はモジュラ化可能なように設計してある。そのためWSDKを使うと,必要に応じて特定の機能だけを異なるレベルのWebサービス・アプリケーションに組み込めるという。

 WSDKのプレビュー版の主な内容は以下の通り。

・セキュリティ:SOAPメッセージに電子署名および暗号化を施すためのWS-Security仕様互換機能により,安全なXML対応Webサービスの構築を支援する。

・ルーティング:WS-Routing仕様を使ってSOAPメッセージの中継を行い,XML対応Webサービスのルーティングを行う。

・アタッチメント:SOAPメッセージに画像などのバイナリ・データの添付を実現する。この機能は,Microsoft社とIBM社が2002年7月に,標準化団体IETF(Internet Engineering Task Force)に共同提出した仕様,WS-Attachmentsをベースにしている。

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