米Microsoftが米国時間10月23日に,Webサービスの次世代アーキテクチャと,それに対応する四つの仕様を発表した。

 「Webサービスにおけるプロトコルやファイル・フォーマットを拡充させるための原則と指針を提供し,より複雑で高度なタスクの処理を可能にする」(同社)。

 四つの仕様とは,「WS-Security」「WS-License」「WS-Routing」「WS-Referral」である。SOAPなどの既存のWebサービス技術をベースとし,「グローバル・コンピューティングの実現に向けて拡張していく」(同社)という。

 四つとも,Webサービスにおける二つの機能(セキュリティおよびルーティング)を実装/強化するための仕様である。なおこれらは2001年4月に開催されたW3C Web Services WorkshopでMicrosoft社と米IBMが発表したロードマップを実現したものとなる。

 WS-Securityは,W3Cの「XML Signature」と「XML Encryption」の使用方法について規定したもの。「WS-License」はWS-Securityと組み合わせて,既存のデジタル信用証明書とSOAPメッセージの安全な関連づけについて規定する。WS-RoutingはこれまでSOAP-RPと呼んでいたSOAPの拡張仕様である。SOAPメッセージ・ヘッダでのアドレス記述法を規定する。WS-Referralは一つのメッセージ・パスでSOAPノード間のルーティングを実現するための仕様である。

 四つの仕様は同社の開発者向けサイト(MSDNサイト)で公開している。これまで公開してきた仕様と同様にレビュー期間を経て,各種の標準化団体に提出する予定である。

 The Global XML Web Services ArchitectureについてMicrosoft社は,「Webサービスが進化し,より高度になってきている。Webサービスは複数の企業の複数のアプリケーションを取り巻く様々なシナリオを実現するための機能を追加していく必要がある」とし,これらのアプリケーションがうまく協調できるような将来の仕様を実現するために原則を定めたもの,と説明している。

 同社が説明する4原則とは以下の通りである。

・モジュール方式
 The Global XML Web Services Architectureでは,SOAPの拡張性を利用して組立可能なモジュールを提供する。エンド・ツー・エンドの機能の提供が必要な際に,これらを組み合わせる。

・汎用性
 The Global XML Web Services Architectureでは,BtoBやEAIのソリューション,ピア・ツー・ピアのアプリケーション,BtoCサービスなどと,広範なWebサービスのシナリオを考慮する。

・連邦型(分散型)
 The Global XML Web Services Architectureは完全な分散型であり,企業/団体間の境界を越えたWebサービスの実現に向ける。したがって中心的なサーバーや管理機能は必要としない。

・標準ベース
 XMLをベースとした現在のWebサービスの仕様と同様に,The Global XML Web Services Architectureのプロトコルは適切な標準化団体に提出する。Microsoft社は支持企業/団体と協力して標準化に向けて取り組む。

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