米Frost & Sullivanが米国時間9月13日に,世界の生体認証(バイオメトリクス認証)市場に関する調査結果を発表した。同市場は2001年の9340万ドル規模から,2006年には20億5300万ドル規模へと急成長を遂げるという。

 「9月11日の対米同時多発テロを契機に,政府,企業,個人などのエンド・ユーザーが,セキュリティ対策に神経を使うようになった。その結果,生体認証(バイオメトリクス認証)がセキュリティ技術として注目されつつある」(同社)

 生体認証技術は,アクセス制御やネットワーク・セキュリティなどの強化に向けて,政府および法律関連,財務,ヘルスケア,消費者向けデバイス・アプリケーションなど,さまざまな分野に広まる見通しだ。

 Frost & Sullivan社アナリストのPrianka Chopra氏によると,「用途としてはアクセス制御が市場を牽引するが,ネットワーク・セキュリティが徐々にシェアを拡大するだろう」との予測である。また同氏は,「情報システムへの攻撃に備えようとする企業,政府機関,軍隊などの需要がシェア拡大を後押しする」と説明した。

 米国の一部の法律では国境で生体認証技術を導入して入国者と出国者をチェックすることを推奨しており,米国の本土防衛だけをとっても,膨大な市場を創出することが予測される。またこれらの法律は,多額の予算を確保し,生体認証技術対応インフラを迅速に開発することを促している。

 Chopra氏は「生体認証技術の価格が低下しつつあるとはいえ,カードなどを使ったシステムと比べると高額である」と述べ,政府による法的規制や支援が重要であることを指摘している。

 2006年までは,指紋認証が市場で優勢を占める。顔認識や虹彩認識も,旅行業界の需要に後押しされて市場シェアを大きく伸ばす見通しだ。またスマート・カードなど,競合技術との併用も生体認証技術が広まる要因となる。

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