米AOL Time WarnerwのAmerica Online(AOL)が米国時間9月12日に,役員刷新人事などを発表した。それによると,AOL社はCOOおよび社長職を廃止し,同社会長兼CEOのJon Miller氏がInteractive MarketingグループやAOL Broadbandグループなどの主力事業の運営をより直接的に監督する体制を整えるという。

 ちなみに,同社の正式なCEO職は2002年4月にBarry Schuler氏が辞任して以来,空席状態にあり,AOL Time Warner社のRobert W. Pittman氏が暫定CEOを務めていた。Miller氏がAOL社の会長兼CEOに就任したのは,2002年8月6日のことである。

 そのほかの主な役員人事は以下の通り。

・Joseph Ripp氏:現在AOL社上級副社長兼CFO。同社副会長に就任する。ネットワーク・インフラや技術事業などの運営を担当する。

・Ted Leonsis氏:現在AOL社副会長。ブランド/製品/技術戦略の運営を担当する新たな役員会の会長に就任する。

・James de Castro氏:現在AOL Interactive Servicesグループ担当社長およびAOLサービス担当役員。Ripp氏およびLeonsis氏と共に,新設するグループ「Senior Strategy Group」を担当する。同グループの運営にはMiller氏とAOL Time Warner社Media and Communications Group会長のDon Logan氏も協力し,AOL社としての目標や戦略を立案する。

 「AOL社は,AOL Time Warner社の長期的な成長を牽引する必要不可欠な存在だ。同日発表した役員人事により,ルールを明確化し,各事業部門の収益性を上げ,組織を簡素化して見通しをよくする。この新組織が活動を開始すれば,AOL社は安定性を増すことになり,会社および従業員は業務目標の実現に集中できるようになる」(Logan氏)

 「当社が行うべきことは,ダイヤルアップ加入者数での優勢の維持,ブロードバンド事業の強化,マーケッタとの関係の再活性化だ」(Miller氏)

 なおAOL社に関しては,2002年7月に不正会計疑惑が浮上し,同社自身も8月14日に,「会計処理について,疑いがあることが判明した」と発表している。同社によると,「疑惑のある取引は過去1年半のあいだに行われたもので,その取引額は4900万ドルと少額である」という。「すでに社内調査を始めており,今後これ以外の取引についても調査を進める。調査は第3四半期末までに完了する予定」(同社)

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