フィンランドのF-Secureが現地時間9月11日に,電子メール・ワーム「Chet」について警告を発した。9月11日の米国同時多発テロ事件に関する内容の電子メールを装っているという。

 Chetを検出したのは2002年9月10日。ワーム自体に重大な“バグ”があるため,ほとんどのシステムで発症せず,「現在のところ,大きな脅威に至らないとみている」(F-Secure社)。

 Chetは電子メールの添付ファイルを介して感染する。添付ファイル名は「11september.exe」である。電子メールの差出人は「mail@world.com」で件名は「All people!!」。

 電子メールでは,添付ファイルが米連邦政府とアルカイダの陰謀を示す証拠であるかのように説明している。受信者が添付ファイルを実行すると,表面上は何も起こっていないように見えるが,実際にはワームがWindowsのアドレス・ブックに掲載されているすべてのアドレスに自身を送りつけようとする。F-Secure社によれば,このワームはロシア語で記述されたものだという。

 「博識ぶったウイルス作成者が対米同時多発テロ1周年を利用しようとしたお粗末な試みだ。しかし,このワームはいつも壊れるので,被害は広がらないだろう」(F-Secure社Anti-Virus Research部門マネージャのMikko Hypponen氏)

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