「ソフトウエアのバグによる損失額は年間で推定595億ドルにのぼる。この数字は国内総生産の0.6%に相当する」,などとする調査結果を,米国商務省の国立標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)が米国時間6月28日に発表した。

 NISTによると,テスト・インフラを強化して早期にバグを検出および除去することにより,1/3以上の損失(222億ドルに相当)を減らすことができるという。現在のバグの半数以上は開発段階の後半か,販売時に発見されている。

 今回の調査は,NISTの依頼により米Research Triangle Instituteが実施した。

 「ソフトウエアのバグによる影響は甚大だ。実質的に,米国のあらゆる企業がソフトウエアを使って開発,生産,販売,サポートを行っているためである。ロボット生産からナノテクノロジ,遺伝子研究などさまざまな分野の革新技術は,コンピュータとソフトウエアの計算機能や制御機能で実現している」(NISTディレクタのArden Bement氏)

 2000年におけるソフトウエアの総売上高は約1800億ドルに達した。69万7000人のソフトウエア・エンジニア,58万5000人のコンピュータ・プログラマがソフトウエア市場を支えている。

 ソフトウエアはますます複雑化しており,ソフトウエア開発者は開発コストの約80%をバグの検出と修正に費やしている。それでも重大な欠陥のあるソフトウエアが出荷されることもある。またバグが発生する原因として,マーケティング戦略の不備,不十分なテストやデバッグなども挙げられる。

 ソフトウエアのクオリティを向上するにはソフトウエア・テストを大幅に改善する必要がある。「認定を受けた標準のテスト・ツール,スイート,スクリプト,参照データ,参照インプリメンテーション,手法を導入すれば,大きな効果が得られる。標準のテスト・データ,手法,自動テスト・スイートを使用することにより,少ないコストでベンチマーク・テストを実施することもできる」(NIST)

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