米Gartner Dataquestは米国時間9月26日,2001年上半期のソフトウエア世界市場に関する調査結果を発表した。景気後退を理由に多数の企業が支出削減に努めており,ソフトウエアの売上高は前年同期比6%増にとどまった。

 2000年に,世界におけるソフトウエアの売上高は18%増加した。今年に入ってソフトウエア売上高の成長率は半分以下に落ちている。2001年通年では新規ライセンスによる売上高が約770億ドルとなり,成長率は7%を下回る見通しだ。

 「9月11日に発生した同時多発テロが世界経済の鈍化に追い打ちをかけ,今後18カ月にわたりソフトウエアの世界市場は低迷するだろう。とりわけ航空,旅行,自動車,保険,消費者向けパソコンなどの分野におけるソフトウエア購入が減る。一方,セキュリティ,ネットワーク・ストレージ,システム管理,コラボレーション分野は売上げが増える」(Dataquest社Software Industry Researchグループ担当副社長のJoanne Correia氏)。

 ソフトウエア・ベンダーの中には,このような売り上げ減少の動きを見越して,経費を削減し現金準備の確保に努めている企業もある。しかし,もとからわずかな現金準備しかなかった多くのベンダーは,売り上げ減少に速やかに対応できていない。「小規模企業の多くは,ソフトウエア購入の減少を補うことのできる保守管理やサービスによる収入がない。こうした企業は買収の対象となったり,競争に生き残れない可能性がある」(Correia氏)。

 2001年第2四半期の売り上げ減少が一過性のものだと楽観視すると致命的な事態を招く,とDataquest社は警告している。

◎関連記事
米国同時多発テロ,一様ではないIT企業への影響
「テロは景気に無関係,ただし米国は景気後退の入り口に立つ」と米UCLA
「同時多発テロがIT産業に与えるインパクトは総額158億ドル」と米調査会社
「企業のIT投資が7カ月ぶりに上昇へ,“ハイテク不況”の底は打った」と米社
「欧州経済の減速で,世界IT支出は2001~2003年に最悪1500 億ドル減少」と米IDC
「世界の企業・団体の56%が2001年のIT予算の増額を予定」,米ガートナーの調査
セキュリティ・ベンダーCheck PointのQ2決算速報,50%超える大幅な増収増益

[発表資料へ]