米Gartneは米国時間6月6日に,「企業などにおいて電子請求書発行(e-billing)が急速に普及しつつある」とする調査結果を発表した。

 「企業は今,コスト削減と投資回収率(ROI:return on investment)の増大に積極的に取り組んでおり,これがe-billing普及のけん引車となっている。e-billingはこの二つを実現させるものとして急速に普及しつつある」(同社)

 Gartner社がここで定義するe-billingとは,インターネットを使った電子インボイスの発行やその決済システムのことである。

 Gartner社では,平均的な大企業がe-billingを導入することで大きなメリットが得られると説明している。例えば大企業が顧客企業にインターネットを使って電子インボイスを発行した場合(すなわちB2Bの場合),年間570万ドルを節約できるという。一方,消費者に電子インボイスを発行した場合(B2Cの場合),年間1310万ドルを節約できるという。

 「B2Cにおいては,わずか9%の請求がインターネットで処理されるだけでペイする。B2Bの場合ははわずか2.3%でよい」(同社)

 さらに,Gartner社副社長兼リサーチ・ディレクタのAvivah Litan氏は次のように説明する。

 「B2Bにおける最大のメリットには現金を速やかに移動できること,運転資金を低く抑えられること,がある。またインボイスを巡る各種問題の処理は手作業で行わなければならず,現在これに時間とコストがかかっている。こうした問題はインボイス処理全体の15%を占めている」(Litan氏)

 ただし,B2BとB2Cのいずれの場合においても顧客にいかに理解してもらうかが重要だという。「e-billingシステムの導入に気が進まない顧客をどう説得するか,という課題がまだ残っている」(同社)

 これについて,Avivah Litan氏は次のように説明する。「顧客の理解を深めるためには,魅力的なインセンティブを提供する必要がある。例えば効果的なのものに“現金割引き”がある。1%の割引きというのが一般的だ。これにより,B2Bの場合は一つのインボイスにつき平均7.25ドルを節約できる。B2Cの場合は同様にして55セントを節約できる」(Litan氏)

 また同社は「(e-billingは)その導入コストが比較的低いということも企業にとって有利」と説明する。

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