ドイツSAPグループの一員である米SAP Markets社が米国時間1月9日,企業とサプライヤとの関係をすべての業務工程にわたって管理するためのmySAP Supplier Relationship Management (mySAP SRM)を発表した。同社のSAP Marketsソリューションの一つで,包括的な方法でサプライヤとの関係を管理するように設計されており,企業の競争力と価値連鎖の収益性を向上させるのが狙いである。

 SAP Markets社は,mySAP SRMを開発した背景や利用価値を以下のように説明する。

 現在企業は,技術とリソースの制約により,主要サプライヤとの関係の合理化を中心に行っている。大半のサプライヤとの関係が管理されていない状態にあるため,条件に完全に適合しない調達により供給の危機が増加する。またこの状態は,より高い収益を生む効率的なサプライヤ選択の障害となっている。そのため,サプライヤ関係の管理はコストを削減し収益を増大させるために重要である。

 mySAP SRMにより企業は,すべての製品とサービスのサプライヤへのビジネス・プロセスを拡張でき,協調的な関係を築くことができる。

 mySAP SRMは,世界で1200以上のユーザーに使われているmySAP E-Procurementをもとに作成されており,新しく発表されたmySAP技術を利用している。mySAP SRMは,SAP製品とともにSAP以外のサプライ・チェーン管理(SCM),製品ライフサイクル管理(PLM),企業リソース・プランニング(ERP)ソリューションをオープンに統合できる。そのためサプライヤとの関係における総合的なビューが提供される。またサプライヤのe-sellingソリューションを統合することにより企業間にまたがる,あるいは企業の境界を越えたプロセスの実現を可能にする。

 企業は,次の3つの主な段階を通じてmySAP SRMの恩恵を受ける。まず,すべての購入活動に関する正確な情報をタイムリに収集することにより,供給と購入戦略を評価する。次に協調,自動化,セルフサービスのための供給ベースを作成する。そして企業間のプロセスの統合を通じて供給関係を結ぶ。

 mySAP SRMは,供給戦略の開発,サプライヤの適格性の判断と選択,契約交渉と管理,サプライヤのセルフサービス,コンテンツ管理,セルフサービスの調達,プラン中心の調達,関係の監視,などの機能を提供する。関係の監視機能は,供給戦略の開発に統合されるため,一度の供給関係だけを管理するのではなく,供給関係を継続的に管理することができる。

 これらの機能により,企業はサプライ・チェーンの中で,より条件に合った資材調達,より良いサプライヤの選択,サイクル・タイムの短縮,フォーカスした購入戦略が導かれる。分析機能により,過去の調達パターンを分析して,現在また展開中のビジネス要素を考慮に入れた将来的な支出の予測が可能となる。

 また中小規模のサプライヤには,WWWブラウザを使って受注処理,請求書発行,価格と仕様の更新する手段が与えられる。新しいインフラへの投資は必要ない。すべてのサプライヤは,バイヤーの要求パターンを明確に知ることができる。mySAP SRMにより,サプライヤはそれぞれのトランザクションのコストを削減し,販売効率を上げられる。既に販売サイドのシステムを持つサプライヤは,mySAP Technologyエクスチェンジ・インフラを使ってシステムを統合できる。

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