米Oracleと米Red Hatが米国時間6月5日に,「Red Hat Linux Advanced Server」の開発と試験を共同で進めていることについて発表した。さらにOracle社は同日,「Oracle9i Database Release 2」「同Application Server Release 2」と「Oracle E-Business Suite 11.5.7」が,Red Hat Linux Advanced Server上で正常に動作したことも明らかにした。

 「両社の共同作業で,Oracle9i Databaseを動作させるRed Hat Linux Advanced Serverの性能を向上させることができた。これにより,企業がLinuxを導入する際に,トータル・ソリューションを提供できる」(両社)

 さらに両社は,「(顧客から)高性能,ITコスト削減,低TCOへの要求がある。そのため,性能,信頼性,クラスタリング,管理の容易性といった分野について,共同でLinuxの開発/試験/改良を行う」としている。

 Oracle社プラットフォーム・パートナシップ担当副社長のDoug Kennedy氏は,「企業顧客がLinuxベースのシステムに移行しつつある最大の理由の一つとして,ITインフラの購入と維持に必要なリソースを削減するため,サーバーを集約することが挙げられる」と説明している。「当社とRed Hat社は,顧客が求める技術面の強化を行うため密接に協力していく。さらに,その成果をオープン・ソース・コミュニティに提供する」(同氏)

 Red Hat Linux Advanced Serverは,データベースを利用する顧客の要望に対応するため,主に以下の技術領域を強化しているという。

・性能:アドレシングI/Oの拡張性,メモリー容量,プロセスのスケジューリングを調整することで,Linuxカーネルの性能を向上させた。これにより,Oracle9i Databaseがシステム/メモリー・リソースを完全に利用できるようになり,メモリーの使用可能容量が10倍以上になった。

・信頼性:両社のシステムの全体的な信頼性と安定性を向上するため,大きな負荷がかかった状態でOracle9i Databaseの試験を行った。これは,リソース不足に対処可能なよう,復元力の改善を目指している。

・管理の容易性:管理作業を容易に行えるようにするため,既存ツールの改善,新規ツールの作成を進めている。

 またOracle社は,顧客に対してRed Hat Advanced Serverのサポートも提供する。「Oracle社として直接OSのサポートを行うのは,これが初めて」(同社)という。

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