「潜在的なリスクを測定できるIT資産のライフサイクルを管理するためのプログラムを持つ企業は25%に満たない」。米Gartner社が,企業のIT資産管理プログラムに関する調査結果を米フロリダ州で開催中の「IT Asset Management and TCO Summit 2002」にて米国時間6月4日に発表した。

 Gartner Measurementが実施した調査により,同社顧客の保有するハードウエア資産の40%はツールを使ったトラッキングが行われていないことが分かった。

 「統計によれば,大半の顧客が手動でトラッキングを行っているか,または資産ベースを理解していない傾向にある。そのため,企業は予定されるOSのアップグレードに関して十分な情報を得ておらず,不正確な憶測に頼っている」(同社副社長兼リサーチ・ディレクタのBill Kirwin氏)

 予定されたハードウエアとソフトウエアの配備が不適切に行われた場合,または財政的危機の原因となるシステム障害によるアクセス不能の事態に陥った場合には,予測できない経費が発生する。次善の策として,IT資産を管理するシステムがあれば,運営に関わるリスクを回避するためにITオペレーション・グループにインフラ要件とITソリューションを配備するタイミングに関して警告を与えることができる。

 だが,調査によれば,90%の企業がハードウエアに関する資産管理を最低限のレベルでしか行っていない。このため,システム管理機能を低下させる可能性があるとともにサービス・レベルも平均以下になる。こうしたリスクにより,TCO(Total Cost of Ownership)の増加が年間7~10%,1人のユーザーにつき560~800ドルになるという。

 ハードウエアの資産管理を十分に行っていない企業は,ハードウエアよりもコストとリスクが高いソフトウエアの資産管理も十分に行っていない傾向にあることも明らかになった。

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