米GartnerのDataquestが米国時間5月16日に,日本を含むアジア太平洋地域の固定電気通信サービス市場について調査した結果を発表した。それによると,同地域における固定電気通信サービスの売上高は2001年に4.5%減少したが,2002年は1.8%回復して1116億ドルに達する。その後も1けた台の成長率を維持し,2006年には1368億ドルに拡大するという。

 テレフォニが依然として市場の売上高の75%を占めている。しかし利用は増加しているものの,激しい価格競争,関税率の影響,VoIP導入の増加などにより,売上高は9.3%低下している。テレフォニの成長は今後,横ばいとなる見通しだ。

 「アジアは,数年前に西欧諸国が経験した同様の問題に直面している。自由化によって価格が暴落するという問題だ。もし市内通話サービスがなかったら,テレフォニの収入はひどい打撃を受けていただろう」(Dataquest社Asia/Pacific Telecom and Internet調査グループ部門主席アナリストのTo Chee Eng氏)

 一方,インターネットおよびIPサービスを含むデータ・サービスは,大きく成長する。現在,市場の売上高全体の24%を創出しており,2006年にはこの割合が35.6%に拡大する。その時点で,データ・サービスの売上高は490億ドルにのぼるとみる。

 最も急速に成長する分野は,IP VPN,Ethernet,ホスティングなどの新たなサービスである。しかしこれらはもともと規模が小さいので,市場の売上高全体に占める割合はわずかなものにとどまる。最も注目すべき分野は広帯域接続サービスで,将来確実に大きな収入源となる。

 日本,オーストラリア,韓国,香港,シンガポールなどの先進国では,市場の成長が減速する。地域全体の売上高の44%を占める日本は,2001年から2006年までの年平均成長率が1.4%。2006年の売上高は500億ドルとみる。

 中国は同期間に年平均成長率7.9%で拡大し,270億ドル規模に達する。その時点で,地域全体の売上高の約20%を占めるようになる。

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