米Allied Business Intelligence(ABI)が米国時間5月9日に,「2002年末までに,北米の480万世帯がビデオ・オンデマンド(VOD)を利用するようになる」などとする調査結果を発表した。それによると,米国のあらゆる大手ケーブル事業者がさまざまな市場でVODサービスを提供しており,市場は2002年と2003年にさらに大きく拡大するという。

 ケーブル事業者はVODによって,衛星事業者では提供不可能なサービスを展開できる。加入者1人当たりの収入を増加し,解約率を低減するという効果が得られることから,ケーブル事業者はVODに強い関心を示しているという。

 ABI社Residential & Networking Technologies部門ディレクタのNavin Sabharwal氏は,「ケーブル事業者のVOD導入には,衛星事業者のサービスとの差別化を図るという目的がある」と説明する。「VODは単純なオンデマンド映画配信からさらに発展する。有料VODなど特定のVODサービスは複合的デジタル・サービスの大切な構成要素になるだろう」(同氏)

 「あらゆるコンテンツをオンデマンドで提供する“Everything on Demand(EOD)”の最終的な目標は,VODメディア・サーバー市場を作り出すことにある」(ABI社)という。ABI社は,2001年には1億800万ドル規模だった世界装置市場が,2002年には1億8600万ドル規模に拡大すると予測している。米SeaChange,米Concurrent Computer,米Diva,米nCubeなど大手ベンダーは今後,米Sun Microsystems,米SGIなどコンピュータ業界の企業との激しい競争に直面する。なお2001年の市場はSeaChnage社とConcurrent社が優位に立ち,それぞれ40%と28%の市場シェアを獲得した。

 なお,VODのプラットフォームはケーブル・テレビだけに限らない。コンテンツ・アグリゲータがVODサービスを提供しつつある。さらに,電気通信事業者もIP VOD over DSL(DSL回線を使ったVODサービス)に関心があるという。また衛星事業者は,Near VOD(NVOD:VODに類するサービス)を提供するために,Personal Video Recorder(PVR)技術を組み合わせようとしている。

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