「北米におけるIPネットワークを介した音声通話時間は,2007年に970億分に達するだろう」。通信分野のコンサルティングおよび市場調査を行う米Atlantic-ACMが米国時間4月2日に,IPテレフォニ市場の今後の展望を調査レポート「IP Telephony: Sizing, Case Studies & Overview 2002-2007」にまとめて発表した。

 「現在,電気通信分野のさまざまなサービス・プロバイダは,IP技術が自社業務に与える影響を見極めようとしている。過去2年間は,米Net2Phone,米iBasis,米ITXC,米Level 3 Communicationsなど,次世代技術を導入したキャリアがVoIP市場の成長をけん引した。その傾向は続くが,今後は長距離通信事業者やRBOC(旧ベル系地域電話会社)など,従来のサービス・プロバイダがVoIP市場の成長に貢献するようになる」(Atlantic-ACM社CEOのJudy Reed Smith氏)

 VoIPは従来技術と比べてさまざまな利点があるものの,サービス品質という点で公衆電話交換網(PSTN)と肩を並べるには至っていない。しかし,IPテレフォニに対するプロバイダの評価は上がっており,今後トラフィックをPSTNからVoIPに移行するプロバイダが増えるという。

 またAtlantic-ACM社は,SIP(Session Initiation Protocol)などの革新的な技術が市場の成長を牽引するとみる。「H.323技術の進歩やSIPの開発が,市場の成長に貢献するのは明らかだ。相互操作性も重要なカギであり,わずかな進展でも市場にとっては吉報だ」(Atlantic-ACM社上級コンサルタントのNick Regas氏)。

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