米Lineoは,インドInfoMartが開発中の「Embedix Plus」を使用した携帯情報端末(PDA)の開発が順調に進んでおり,その出荷時期は2002年第2四半期になる,と発表した。サンフランシスコで開催中の組み込みシステムの会議「Embedded Systems Conference 2002」でLineo社が現地時間3月12日に明らかにしたもの。

 InfoMart社が開発中のPDAの名称は「Kaii」。インド語で「手」の意味をもつという。Kaiiは「インドに最適化された初のPDA」(Lineo社)で,当初インド市場だけで出荷されるが,後に世界市場に出荷されることも見込まれてるという。日立製作所の160MHz動作「SH3」,64Mバイトの主記憶,32MバイトのROMなどを搭載する。

 Embedix Plusは,JavaとLinuxをベースとした携帯情報端末/スマートフォン向けのソフトウエア・プラットフォームである。Lineo社の組み込み向けLinuxソフトウエア開発キット「Embedix SDK」に米Insignia SolutionsのJVM(Java Virtual Machine)「Jeode」,ノルウェーTrolltech ASのGUI(Qt/Embedded),ノルウェーOpera Software ASのWebブラウザ「Opera for Linux」を組み合わせている。

 なお2001年11月に,Sharp Electronics社が,PDA(携帯情報端末)向けアプリケーション開発環境をLinuxとJavaにも拡張すると発表し,Embedix Plusを使用した「Zaurus SL-5000D」について明らかにしていた。

 「KaiiはZaurus SL-5000Dに次ぐ,Java/Linuxコミュニティに向けたPDA」(Lineo社)

 ちなみにLineo社は米Cahners In-Stat Groupが行ったPDA市場調査の結果を引用して発表している。それによると,PDAの世界市場は2002年に著しくに拡大するという。その出荷台数は前年比18%増が見込まれており,また2005年までは2桁成長で伸びていくという。市場がピークを迎かえるのは2004年で,この年の前年比成長率は30%となる。その後2005年にも市場は成熟期を迎えるという。
 

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