半導体関連の業界団体Fabless Semiconductor Association(FSA)が米国時間3月6日に,半導体用ウエーハの需要に関する調査結果を発表した。それによると,在庫レベルが安定することから,調査対象の企業の多くは2002年に状況が好転するとの楽観的な見通しを示したという。
■表 2002年のウエーハ需要予測(2001年第3四半期~2002年第4四半期) |
![]() |
出典:FSA,「The 2002 Wafer and Packaging Demand Survey」 |
2002年の設備投資額(予算)をみると,UMCが唯一増額としているものの,各社とも軒並み1割~3割程度減額しており,IntelとMicronがともに4割減,Infineonが5割減と大幅に減額しているのが目立つ。詳細は以下の通り。
■表 世界の半導体メーカーの設備投資額 (単位:B=10億ドル,M=100万ドル) Company 2000 2001* 2002** Intel $6.7B $7.5B $4.5B TSMC $5.0B $2.0B $1.5B Samsung $3.1B $1.8B $1.3B Texas Instruments $2.8B $1.8B $1.2B UMC $2.8B $1.1B $1.3B STMicroelectronics $3.3B $1.7B $1.3B Infineon $1.7B $1.7B $850M Micron $1.5B $1.4B $800M IBM $1.45B $1.40B $1.35B 富士通 $1.9B $1.3B $1.1B ソニー $1.4B $1.3B $1.0B NEC $1.99B $1.2B $975M AMD $800M $1.0B $900M 業界合計 $60.8B $41.5B $31.13B 注) *は推定,**は予算額 出典: IC Insights
なお調査はファブレス企業131社と統合デバイス製造業者(IDM)14社を対象にして,米PricewaterhouseCoopersと共同で実施した。
調査対象の企業は,2001年第4四半期から2002年第1四半期にかけて,短期的にはウエーハ需要が17%増加すると予測している。ただし,2002年のウエーハ需要が2001年の2倍になると答えた企業を除くと,2002年第1四半期のウエーハ需要の増加は,2001年第4四半期に比べわずか2%にとどまるとの予測結果になり,2002年のウエーハ需要は前年比16%増に過ぎないとみている。
今後については,2002年から2003年にかけて同じ割合で需要が伸び,2002年を通し四半期ごとのウエーハ需要は連続して増加するという。長期的な見込みについては調査対象の企業がすべて楽観的で,2002年のウエーハ需要の増加率は2001年に比べ78%伸びるとみている。
FSAのエクゼクティブ・ディレクタのJodi Shelton氏は,「楽観的な予測ではあるが,2002年の回復はゆっくりしたペースであることを忘れてはならない」と指摘する。「アナリストらは,2002年の伸びはごくわずかで,2003年に20%から25%増加すると予測している」(同氏)
売上高をみると,2001年におけるファブレス業界の売上高は127億ドルで,2000年の160億ドルに比べ21%減少した。IDMはさらに悪く,前年比27%減であった。いずれの業界も大幅な減少であったが,メモリ製品の壊滅的な状況の影響をあまり受けず,高度な技術を使う製品を中心にしているので,半導体業界の平均よりはよい結果であったという。
FSAは,2010年までに,IC(integrated circuit)の売上高全体の5割をファブレスが占めると予測している。FSAは,成長予測,M&A件数,ベンチャー・キャピタルの出資状況,ファウンドリの新規プロジェクト・リストなど,調査結果の詳細情報「Executive Summary」をWWWサイトで公開している。
◎関連記事
■2001年Q4の世界半導体市場はQ3から横ばい,日本以外で回復のきざし
■世界半導体業界は01年Q4から回復,03年/04年は連続して21%成長の見込み
■半導体製造の設備投資額,2001年に29%減,製造装置市場の規模は37%縮小,米データクエストの調査
■「半導体設備投資と製造装置の世界市場,回復は2002年」と米データクエスト
■2001年の半導体製造装置市場,前年比は38%減で過去最悪
■10月の世界半導体市場,前月比売上高は2.5%増で昨年11月以来はじめてプラス成長に
[発表資料へ]