プログラマブル・ロジックのソリューションを提供する米Xilinx社が米国時間3月4日に,FPGA(Field Programmable Gate Array)の新製品「Virtex-II Pro」ファミリの出荷を発表した。次世代システム,RISCプロセシング,高速シリアル技術に向け,アーキテクチャ・ファブリックにIBMのPowerPCプロセサを搭載し,マルチギガビットのシリアル・トランシーバを提供する。Virtex-II Proの告知とともに,Q&Aドキュメントと技術的解説も公開している。

 同製品では,Virtex-IIファブリックにPowerPCプロセサを組み込み,Virtex-II Proファミリでは,動作周波数300 MHz のPowerPC 405を4基までサポートする。他にもConexant社の高速シリアル技術,Wind River社の開発ツールを統合している。またActive Interconnect,BlockRAM,クロック管理機能も収録しており,システム設計者は,システム・コストを抑えながら高レベルなパフォーマンスを実現可能となる。

 「同製品は,プログラマブル技術の使用モデルをロジックからシステムに移行している。システム設計者は,アーキテクチャ・レベルでプログラムが可能になる」(同社の社長兼CEOのWim Roelandts氏)。

 Virtex-II Pro FPGAは,RocketIO技術の採用により,マルチポート,3.125Gビット/秒のシリアル・インタフェースを提供する。そのためGigabit Ethernet,3GIO,SerialATA,Infiniband,FibreChannelなどのインタフェース標準に対応する。またConexant SkyRail技術により,ギガビット・シリアル・インタフェースが,広帯域幅インタフェースの統合を簡略化する。単一のプラットフォームで複数の接続標準に対応でき,I/Oパフォーマンスを向上が図れる。

 また,Wind River社とGNUのコンパイラと統合型開発環境を含むソフトウエア,ハードウエア開発と,システム・インテグレーションのソリューションを収録している。プログラマブル・システム・プラットフォームを次世代システムの開発ツールと組み合わせることで,システム設計の評価時間から生産への時間の短縮を実現する。そして開発チームは,ソフトウエア技術者に開発サイクルの早い段階で専用ハードウエアを提供可能になり,さらに設計時間を短縮し開発コストを抑えることが可能としている。

 「XC2VP4」,「XC2VP7」,「XC2VP20」デバイスは現在出荷中。「XC2VP2」,「XC2VP50」は,2002年中旬に出荷が予定されている。「XC2VP4」,「XC2VP7」,「XC2VP20」デバイスの価格は,2004年に25,000ユニットの一括購入でそれぞれ120ドル,180ドル,525ドルになる。

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