米Intel,スタンフォード大学,米国のアルツハイマー協会(Alzheimer's Association)は米国時間10月17日に,ピア・ツー・ピア(PtoP)技術を用いたアルツハイマーおよびアミロイド病の研究プロジェクト「Stanford Alzheimer and Amyloidogenic Disease Research Program」を発表した。
インテル社の「Intel Philanthropic Peer-to-Peer Program」の一環で,癌研究プロジェクトに次ぐ二つめの取り組みとなる。
プロジェクトに参加するユーザーは,Intel社のWWWサイト(http://www.intel.com/cure)からプログラムをダウンロードする。プログラムはスクリーン・セーバーのようにふるまい,ユーザーがパソコンで作業していないときに自動的に動作する。「コンピュータの仮想ネットワークを構築し,未使用の能力を利用することで,科学研究向けのスーパーコンピュータと同様の処理を行う」(Intel社)。
研究プロジェクトでは,誤った折り畳み構造を持つ蛋白質やプリオンに起因する病気(アミロイド病)の解明に取り組む。コンピュータでさまざまな変数を用いてシミュレーションを行い,蛋白質がどのような原因や条件のもとで誤った構造を持つようになるのか研究する。
アルツハイマー特有のものだけではなく,2型糖尿病や狂牛病も引き起こす蛋白質も研究対象とする。同研究は,パーキンソン病やALS(筋萎縮性側索硬化症)など,ほかのアミロイド病の解明にも役立つという。
「今年4月に,世界最大規模の仮想スーパーコンピュータの構築を発表して以来,100万台以上のパソコンがプロジェクトに参加している。最高性能のスーパーコンピュータを10台組み合わせた以上の処理能力を実現できる」(Intel社CTOのPatrick Gelsinger氏)。
スタンフォード大学化学学科のグループ「Pande Group」の研究者がソフトウエアを開発中である。今回のプロジェクトはPande Groupが運営するプログラム「Folding@home」をベースとしている。
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